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2017年3月17日 (金)

「ゲゲゲの人生展」の水木しげる

私にとって、一番心に残っているアニメは「ゲゲゲの鬼太郎」。あの「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲー」という歌は今でも歌えるし、鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男、ぬりかべといった登場人物もよく覚えている。そこで銀座松屋で20日まで開催の「追悼水木しげる ゲゲゲの人生展」を見に行った。

私は昔、展覧会屋(ランカイ屋)だった頃、美術館だけではなく百貨店でもよく展覧会をやった。百貨店は美術以外の展覧会も多い。美術展は作品を並べればいいが、文学や映画をテーマにした展覧会は難しい。漫画の場合は、原画を並べるのが常套手段だがあまり映えない。

この展覧会は、第二次世界大戦を始めとして人生の重要なポイントで水木自身が後年描いた漫画を並べているのでわかりやすかった。彼が自分で振り返った過去が見えてくる。そのうえに、自宅の部屋を再現したり、家の中で漫画を描いていると幽霊が出てくる様子を映像でうまく見せたり。

おもしろかったのは、南方戦線にいた水木が現地民と仲良くなり、彼らの生活を天国だと思ったこと。これはもちろん自分の軍の生活の地獄と対比してだが、敗戦後に地元民から残れと誘われてその気だったという。

実は一番驚いたのは、戦後復員して最初は紙芝居を描いていたこと。それから貸本漫画家になり、1965年、45歳の時に『少年マガジン』の「テレビくん」がヒットする。そして『ゲゲゲの鬼太郎』が始まり、1968年からアニメのテレビ放映が始まる。まさに戦後の子供の娯楽史を歩んでいる。

アニメがちょうど私の小学校低学年に始まったので、完全にハマった。「夜は墓場で運動会!」というのは、本当にあるような気がしていた。この歌を聞くと自宅近くの墓場が蘇る。

1980年代からは世界各地を旅行する。とりわけ神話に満ちた辺境の地が好きだったようだ。これは南方戦線で見た「天国」を探していたのではないか。展示には、各地で入手した仮面やヘンな置物がびっしりと展示されている部屋もある。水木が現地の人々の祭に入り込んで、楽しそうに踊っている映像もあった。

会場はまさに老若男女問わず賑わっていた。南方戦線とゲゲゲの鬼太郎と未開の神話的世界がそのままつながっていて、それが世代を超えて日本人の何かを揺り動かすのだろう。

隣で「君の名は。」展をやっていた。こちらは絵コンテやキャラクター素案などアニメができる前の素材が展示されていたが、鬼太郎を見た後ではずいぶん薄っぺらに見えた。

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