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2017年3月24日 (金)

他人事ではない『メットガラ』

4月15日公開の『メットガラ ドレスをまとった美術館』を見た。こういう文化村向きのようなセレブ映画は遠慮していたが、宣伝の方から元イベント屋の私にぜひ見て欲しいと連絡があった。

確かに私には、出てくるセレブのファッションや言葉以上に、展覧会を作る過程を見せるドキュメンタリーとしておもしろかった。美術館を撮ったドキュメンタリーは、『パリ・ルーヴル美術館の秘密』(1990)以来、最近は特に増えた。しかし1つの展覧会ができる過程を見せる映画は少ない。

この映画は、ニューヨークのメトロポリタン美術館で、年に一度の大イベント「メットガラ」とそれに合わせてオープンする展覧会「鏡の中の中国」の準備を半年ほど追いかけたもの。展覧会だけならこの美術館のキュレーターのアンドリュー・ボルトンが自分の責任で進めればいいが、「メットガラ」が重なるから簡単ではない。

「メットガラ」は1席300万円近いディナーの席を600人のセレブが埋めるもので、美術館の資金集めのためには重要なイベント。それを仕切るのは『プラダを着た悪魔』で描かれた「ヴォーグ」誌の編集長、アンナ・ウィンターで、彼女は展覧会の内容にも口を出す。

さらに中国のイメージを世界に広めるのに重要な役割を果たした『花様年華』の監督のウォン・カーウァイがアドバイザーになり、展覧会の一部で使う中国ギャラリーのキュレーターも意見を述べる。北京で記者会見をやると、古い中国のイメージを広めると、中国のジャーナリストに批判される。

彼らすべての意見を聞きながらボルトンは淡々と進めるが、準備ははかどらない。最後の数日は徹夜に近い状態で働き、どうにか間に合わせる。

私も2003年に亡くなられたばかりの田中一光さんの大きな回顧展を企画した時に、少し近い経験をした。安藤忠雄さんが展示デザイン、永井一正さんがチラシやポスター、勝井三男さんがカタログをそれぞれ担当し、三宅一生さん、横尾忠則さん、粟津潔さん、福田繁雄さんなど一光さんの友人たちが「支える会」として加わったので、本当に胃が痛くなった。

その話は後日にするが、この映画を見ながら展示作業期間が長いことに驚いた。8週間前にもう会場造作をしているなんて、日本ではありえない。美術館だと大規模な展覧会で1週間、そうでなければ3日ほど。百貨店は一晩で展示ケースを設置し、朝の10時の開店までに展示を済ませる。

だからルーヴル美術館など海外から借りる時は、展示期間で揉める。先方は最低2週間を要求し、日本側は1週間で十分となる。だいたい10日あたりに決まるが。

だから、この映画はとても他人事とは思えなかった。

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