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2017年4月13日 (木)

わかりやすかった『ゴースト・イン・ザ・シェル』

今年の1月に押井守の映画を何本もフィルムセンターで見たこともあり、『攻殻機動隊』のハリウッド版を楽しみに劇場に見に行った。感想を一言で言うと、「押井守よりずっとわかりやすい」「日本に対するリスペクトに満ちている」

わかりやすさは、まず、スカーレット・ヨハンソン演じる女性少佐の過去にある。難民ボートでテロリストに襲われて両親はなくなり、自分は半身不随になったという説明が出だしにある。不幸な過去を持った女性の正体(=素子)がだんだんわかってゆく、というサスペンスの常道がある。

彼女が勤務する公安9課の上司の課長を演じるのはビートたけしだが、彼は日本語で話すし最後まで少佐をサポートする。たけしだけは日本語で通させるというのは、最大のリスペクトだろう。彼の広がった白髪に、私はドイツ映画『ドクトル・マブゼ』(1921)を思い出した。

そして彼女の相棒バトーも、途中で現れる謎の男クゼも彼女を手術した女医(ジュリエット・ビノーシュ)さえも、みんな好意的に描かれていて、見ていて疲れない。結局のところ、敵はハンカ社のカッター社長とその子分だけなので、敵味方が実にはっきりしている。

桃井かおりの演じる中年女性の登場が、さらに物語をわかりやすくする。この役は(たぶん)アニメになかった。これによって少佐=素子の内面がぐっとわかりやすくなる。アニメでは素子は永遠の謎だった気がする。

この映画は、押井守特有の全共闘世代的な誇大妄想や神秘主義や晦渋さが抑えられて、それぞれの登場人物にモチベーションが与えられ、感情移入しやすくなっている。だから、街の描き方も含めて、『攻殻機動隊』よりも、『ブレードランナー』に近い。

少佐がビルの上から飛び降りたりするシーンや、芸者ロボットのクモのような動きにも目を奪われた。あえてド派手アクションを抑えて、日本風に細部を見せる感じ。ルパート・サンダースという40代の監督だが、なかなかうまい。

原作だと素子の豊満な胸が見えて、それを剥くと機械が出てくるというのがミソだが、さすがにスカーレット・ヨハンソンの胸は見せられない。だから厚ぼったい樹脂の肉襦袢のようなものを着ているのが、ちょっと気になった。

エグゼクティブプロデューサーとして、ギャガ創立者の藤村さんらの日本人の名前があったが、中国資本が参加している映画なのに日本へのリスペクトに満ちているのは、彼らのおかげだろうか。

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