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2017年4月 5日 (水)

河鍋暁斎は楽しい

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで4月16日まで開催されている「これぞ暁斎」展は、とにかく楽しい。ゴールドマンという人の個人コレクションなので小さいものばかりかと思っていたが、大きな作品もある。

河鍋暁斎は、人気の伊藤若冲よりも100年くらい後の画家で、江戸時代末期から明治初期に活躍した。若冲の時代と違って時代の変動期だけあって、あらゆる権威を吹き飛ばすような爽快な笑いに満ちている。

もちろん画力は相当で、普通の花鳥風月もきちんと書いているし、《達磨》のような禅画もある。しかし細部を見ると、おかしな図像が満載だ。

例えば《地獄大夫と一休》は、遠くから見ると単なる美人画に見える。ところが近づくとその女の着物には、「お化けの運動会」のようにおどろおどろしい絵がびっしりと描き込まれている。その左側には両手両足を動かしながら楽しそうに踊る一休。彼の足元には真っ白な骸骨がいて、その骸骨は三味線を弾く。さらに小さな骸骨が遊女の周りを踊り狂う。

こういう祝祭性が、どの絵にも満ちている。《百鬼夜行図屏風》や《動物の曲芸》などを見ると、本当に「ゲゲゲの鬼太郎」の世界。たぶん世の中が変動し、一挙に欧米文化が流入しているなかで、好きなものを書きたい放題だったのではないか。

暁斎の絵には外国人がよく出てくるし、お雇い外国人の建築家、ジョサイア・コンドル(展覧会ではコンダ―という表記)を弟子にしていた。いわゆる「外人好き」だったのではないか。そんなこともあって、暁斎は海外に多数が流出している。今回の展示作品を所蔵しているのも、イスラエル・ゴールドマンというコレクター。

明治3年に上野の料亭で開かれた書画会で大酒を飲んで、役人をからかった滑稽画を描いてその場にいた警官に逮捕されたという。入牢3か月、鞭打ち50回という刑を受けて釈放された後、この恥辱を深く後悔し、筆名を「狂斎」から「暁斎」と変えたらしい。

外国人と好んで付き合い、飲んで権力をからかい、お化けや骸骨も描く。10点ほどの春画でさえも、彼のはすべて滑稽味がある。どんな変な男だったのだろうか。もっと知りたくなった。

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