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2017年4月19日 (水)

『夜は短し歩けよ乙女』は抜群におもしろい

最近見たアニメで抜群におもしろかったのが、『夜は短し歩けよ乙女』。森見登美彦の原作で監督は湯浅政明だが、作風は鈴木清順みたい。時代がかっていてレトロでポップな映像だが、大筋は極めてシンプルな恋愛もの。ところが細部は謎だらけ。

大学生の「先輩」は、「後輩」の黒髪の乙女に一目惚れし、「ナカメ作戦」=なるべく、彼女の、目に留まる、を実行する。全体にこのレベルのオヤジギャグ満載で、私は最後まで笑いながら見た。

映画はこの2人のたった一夜の冒険を描く。赤いワンピースを着て何事にも前向きな乙女は、実は「そこにお酒があるかぎり」飲むと言い放つ酒豪。言い寄るスケベオヤジには拳骨パンチを浴びせ、李白という伝説的酒豪の老人を「ニセ電気ブラン」の飲み比べで負かす。

そのほか「パンツ総番長」とか「学園祭事務局長」とか「古本市の神様」とか奇想天外なキャラクターが続出し、何が何だかわからないうちに、ラストに「先輩」の恋は成就する。

絵は大胆に省略され、線はゆがんで誇張されて、まるで浮世絵のよう。そのうえ、ミュージカルのような歌のシーンもあって、見ていてとにかく楽しい。

鈴木清順と書いたが、むしろ不条理でオフビートな感覚は三木聡に近いかもしれない。懐かしさとポップさが共存し、とにかく意味もなく前向きだ。そしてアニメならではの自由自在な場面が連続する。最近のあまりにリアルなアニメと全く逆方向。

木屋町のバーや鴨川神社の古本市など、京都の町が前面に出ているのもいい。黒髪の乙女の気を引くために先輩が古本市で探すのは、かつて彼女が持っていた『ラ・タ・タ・タム』という童話の本。ほかにも本が表紙の図柄入りで大量に出てくるのも嬉しい。

実は原作の森見登美彦は名前を聞いたくらいで読んだことがなく、監督の湯浅政明のアニメはテレビも映画も1本も見ていなかったが、湯浅ワールドにいっぺんにハマってしまった。同じ森見原作のテレビアニメ『四畳半神話大系』を見たくなった。

見ながら想像した通り、湯浅監督は私とほぼ同世代(少し若い)。そうでなければ、あんなオヤジギャグは出てこない。

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