『グレートウォール』にびっくり
チャン・イーモウ監督の『グレートウォール』を劇場で見て、びっくりした。何と怪物との戦いだったから。冒頭に、万里の長城には多くの史実と伝説があるが、この映画はその伝説の一つを描くと出てくる。本当にこんな伝説があるのかと思うくらい、とんでもない話だった。
12世紀、火薬を求めて中国を旅する西洋人のウィリアム(マット・デイモン)は、仲間(ペドロ・パスカル)と共に中国の軍隊に降伏する。そこにはもう1人、20年前から住む西洋人(ウィレム・デフォー)がいた。
彼らを捕らえた中国の軍隊は、敵の襲来に備えて準備中だ。その敵が実は饕餮(とうてつ)と呼ばれる怪獣たちで、ワニを醜くしたような怪物が何万と現れて、万里の長城の中に住む軍隊と戦う。
ネットで調べると、饕餮とは本当に中国の伝説上の生き物で、古代の青銅器には饕餮文と呼ばれる文様があるらしい。いずれにしても、この映画はその怪物との戦いを純粋にアクションとして見せる。
青や赤や黄の軍隊の鎧が華やかで美しい。とりわけ娘子(女性)軍の青い鎧は胸のあたりにふくらみまであって、可愛らしいが、彼女たちの大半は戦いながら怪獣に食べられてしまう。
ウィリアムは、火薬を盗んで抜け出そうとする西洋人2人と袂をわかち、中国軍と共に戦う。彼の機転と活躍もあって、どうにか怪物たちを追い払うことに成功する。なんだ、西洋人が中国を救う話かとその古さにもびっくり。そのうえ、ウィリアムは美人のリン司令官(ジン・ティエン)と恋に落ちる感じだし。
つまりは流れ者が助っ人として活躍する西部劇的な物語だから、西洋中心主義も健在。しかしながら、映画はそんなことはどうでもいいとばかりに、強烈なアクションだけを繰り広げる。
夜の万里の長城に無数の熱気球が飛び立つシーンのように美的なシーンもあるが、何よりも押し寄せる怪物たちを実に多種多様な兵器で打ち砕く死闘に目を奪われる。これをもって、チャン・イーモウは堕落したと思う人も多いだろうが、むしろ私には気持ちのいい「割り切り」に思えた。103分というコンパクトな長さも含めて。
この映画を製作したレジェンダリー・ピクチャーズは、米国版『ゴジラ』や『パシフィック・リム』、公開中の『キングコング 髑髏島の巨神』なども作っているが、今は中国資本。そのせいか、半分は中国語だった。今後、こうした映画がどんどん増えるのだろうか。
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