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2017年5月16日 (火)

『PARKSパークス』の描く吉祥寺

私はかつて、吉祥寺や下北沢、自由が丘とかが嫌いだった。「住みたい街」のトップにあがりそうなこういう場所に行くと、場違いな感じがした。パリで一年過ごした後に大学を卒業してから東京にやってきた私は、こうした若者の街を見て、「勝手にしやがれ」と思った。

なかでも吉祥寺は住む人がなぜか自己満足に見える中央線にあるし、とにかく一番苦手だった。だから井の頭公園を舞台にした『PARKSパークス』は見ないつもりだった。

そのうえ、瀬田なつき監督は、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(11)を見て、才能はあるけれど苦手だと思った。神経質な登場人物をキリキリと見せる感じに引いた。

劇場に見に行ったのは、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』に出ていた石橋静河が50年前の大学生を演じていると知ったから。彼女が演じる1960年代の女性を見たいと思った。

同じ監督の映画でも『PARKSパークス』は前作とだいぶ違った。見終わると、若者たちが歌いながら井の頭公園を駆け巡っているイメージが残った。『ラ・ラ・ランド』を思い出したくらい、ミュージカルに近い。

私は井の頭公園はたぶん2回しか行ったことがないし、きちんと歩いていない。最後に行ったのは20年くらい前か。だからこの公園がこんなに緑がいっぱいで、光に溢れているとは知らなかった。映画を見る限り、ずいぶん魅力的に見えた。

そもそも映画自体が開園百周年記念で作られたというから、相当に古い公園だ。映画はその歴史の持つ厚みのような濃い雰囲気を全編に漂わせる。そこにハル(永野芽郁)の父が50年前に受け取った手紙が蘇り、父とその恋人の佐知子(石橋静河)の青春が語られる。

映画は、佐知子がかつて住んだアパートを訪ねるハルとそこに現在住む純(橋本愛)と佐知子の孫のトキオ(染谷将太)が、50年前に録音されたオープンデッキのテープを見つけて、その音楽の続きを作るというもの。前半は能天気に公園で騒ぐ3人が爽やかに撮られているが、後半は彼らのバンドの公演がうまくいかず、挫折感のままになんとなく終わってしまう。

前半のままで公演を成功させていたら、単純に楽しい映画で終わっただろうが、あえてすっきりしない終わり方をしたところがこの監督らしい。それでも見終わって、公園の緑や池が音楽と共に軽やかに頭をめぐる。60年代の石橋静河もよかった。

さて井の頭公園に行きたくなったかといえば、それは全くない。

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コメント

僕は、仕事場が吉祥寺です。なれるといいとこですよ。
食事でいくと、店も料理もおしゃれなんだけど、味はそれほどでない、みたいな感じの店は多いです。街の感じもそれかな?
井の頭公園は、緑いっぱいだし池が結構広くていいです。お昼休みに散歩したりするとなんかうれしい。桜の時は、混雑していて、おばさんたちは、「カップルがここに来るとわかれるのよねぇ~」などといっている。そんな話があるらしいが、なんとなくおかしい。

投稿: jun | 2017年5月16日 (火) 23時18分

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