とにかく三池崇史だから
三池崇史監督の『無限の住人』を劇場で見た。『十三人の刺客』(10)以来の壮大なチャンバラだが、今回は相当にふざけている。まず主人公万次が木村拓哉で、妹(杉咲花)を殺された怒りで100人を切り殺すというのが冒頭。
そこまでは白黒で、それから50年後がカラーで描かれる。白黒の最後に万次は死ぬが、不思議な尼さん(山本陽子!)に虫を体内に仕込まれて、不死身の体になる。だから50年後も全く変わらない。
両親を殺されて復讐に燃える少女・凛(杉咲花の二役)が現れ、万次を用心棒として雇う。万次は妹を彷彿とさせる凛のために、「いっとう流」の一派と戦う。「一刀流」かと思ったら「逸刀流」で、あらゆる種類の刃物を使う変人集団。茶髪もセクシーな女もいて、何でもあり。
逸刀流を率いる福士蒼汰もその一派ながら凜に惚れる北村一輝も単独に行動する市川海老蔵もみんなヘンだし、逸刀流を狙う無骸流の市原隼人は白髪で栗山千明は金髪でもっとおかしい。さらに幕府の田中泯や幕府の指南役の山崎努など豪華キャストが脇役でぞろぞろ出てくる。
それなのに物語らしいものは希薄で、ひたすら凜の復讐に協力する不死身のキムタクの無限の人殺しだけが描かれる。それでも細部にギャグが無数に仕込まれているので、楽しみながら2時間21分も飽きずに見てしまう。こんなB級感覚は、とにかく三池崇史だから(おもしろい、または仕方がない)と思ってしまう。
あえて言えば杉咲花が可愛いくて健気なだけではなく、アクションでもう少し活躍してくれたらよかった。栗山千明や戸田恵梨香もお色気路線でやたらに足を見せるし、全体にマッチョなのは三池らしくはあるのだが。
それからキムタクと杉咲花と福士蒼汰以外は、わざとのように人物の描き方が浅い。これも三池流かもしれないが、個人的には市川海老蔵や田中泯や山崎努には、もっと「深み」をつけて欲しかった。
全くもって変な映画だが、これだけのお金を使って時代劇を作ることが許されるのは、今の日本ではこの監督だけかもしれない。この映画の製作の中心が、アメリカのメジャーのワーナーというのも興味深いし、ジェレミー・トーマスも製作に加わってカンヌに出るというのもさすが三池監督。
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