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2017年6月13日 (火)

『オリーブの樹は呼んでいる』でわかること

オリーブの実もオイルも、大好きだ。昔はどちらも今ほど日本では売られていなかった。30年以上前にパリに留学してすぐに、帰国する方からほとんど使っていないオイルを1瓶をもらったのが、自分で料理に使うようになったきっかけだった。

最初は油臭くて好きになれなかったが、だんだん慣れていった。今では、加熱用の安いものと、生で使う高い方の2本を使っている。だからスペイン映画『オリーブの樹は呼んでいる』は、題名だけで劇場に見に行った。

監督のイシアル・ボジャインの夫のポール・ラヴァーティは、ケン・ローチ監督の名脚本家として名高い。彼がこの映画でも脚本を務めている。だから全体にはケン・ローチ的なグローバリズム批判の思想があるが、細部はスペインの家族の日常と冒険を描く。

祖父は代々守ってきた樹齢2千年のオリーブの樹が売られてから、口を閉ざしてしまった。20歳の孫娘は何とか祖父を元気づけようと、売られたオリーブの樹を取り戻そうとする。ドイツのジュッセルドルフの会社が社屋に置いているとわかり、孫娘は職場の同僚や叔父をたきつけて、トラックでその会社へ向かう。

だから後半はロードムービーだけれど、最初から勝ち目のない試合のようで盛り上がりに欠ける。そもそも孫娘が何も考えずに周囲をだましてとにかく出発してしまうところも、共感を得にくい。映画全体が孫娘の気まぐれだけで成り立っているようにも見える。せめてドイツで少しは気の利いたシーンが欲しかった。

それでも、樹齢2千年のオリーブの樹は美しく、ドイツに向かう途中でえんえんと続くオリーブの畑も見ているだけで嬉しくなる。桜の木よりももっとどっしりして横に広がり、小宇宙を作っている感じ。

おかしかったのは、ドイツの国境に入る時に、叔父が「どうもドイツ人には圧倒される。背も高いし、英語もできるし、かなわない感じ」という意味のことを述べたこと。オリーブを愛して2千年も育てる南ヨーロッパの人々は、経済力のあるドイツ人に完全なコンプレックスを抱いている。だからこそドイツの企業は、ロビーにその樹を展示して、会社のロゴにまで使うのだけれど。

オリーブ好きならば、見る価値はあるだろう。

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コメント

僕のおやじ、おふくろは、香川県の小豆島出身です。
おやじの実家は、オリーブ畑をもってました。
そこで、僕が子供の頃(昭和30年代)から、オリーブ油は家にいつもあり、あかぎれややけどの時につけるものとおもってました。オリーブ油で料理はしてなかったような気がします
また、オリーブの塩漬けは、一斗缶で送ってきたりして、小学校の頃から食べてました。子供が食べるようなものでないような気もしますが、それなりにおいしかった。このため、オリーブの塩漬けが、ポピュラーになってきたとき、知ってるよ、みたいに思いました。
また、おやじから、戦時中は、オリーブ油もあぶらなので軍から買い上げられていたとかいう話も聞きました。オリーブ油で飛行機でも飛ばそうとしてたのですかね?

投稿: jun | 2017年6月19日 (月) 23時12分

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