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2017年6月 9日 (金)

石井輝男を2本見る

石井輝男監督のファンではないが、友人がおもしろいというので『実録三億円事件 時効成立』(75)と『黒線地帯』(60)の2本立てを渋谷に見に行った。さすがに平日昼間だと高齢者が多く、昔の並木座や文芸座を思い出した。

どちらも最後まで飽きさせない娯楽作で、より楽しんだのは『実録三億円事件』の方。1968年の三億円事件というのは、今の50歳代にとっては小さい頃の一番の事件だった。これに次ぐのは70年のよど号事件か、72年のあさま山荘事件か。

三億円事件は75年12月に時効を迎える。この映画はその時に合わせて公開されたいわばキワモノ映画だが、今見てもかなりおもしろい。何といっても犯人西原を演じる岡田裕介が抜群にいい。もちろん東映の現会長であり、当時の東映社長・岡田茂の息子で俳優だった。

彼が年上の女にもてるボンボンのダメ男ぶりを見せる。彼と同棲する小川真由美演じる恋人は、姉さん女房風で妙にエロチック。彼女は豊かな家庭の出身という設定だが、競馬に金をつぎ込む西原から離れられない。西原よりも機転が利き、彼女の活躍で危ない場面を切り抜ける。さらに西原に金を渡す有閑マダムを演じる絵沢萠子もいる。この人は出てくるだけで淫靡。

映画は、西原が立てた強盗計画を妻と2人で着実に実行してゆく場面を追う。決行日は大雨という設定だが、これが現場を盛り上げる。その後も架空の設定が次々に現れて、まったく飽きない。

西原たちは盗んだ3億円をまず自分の郷里の墓に埋める。捜査の手がそこに及ぶが、恋人はすでにお金を自宅に移していた。西原はそのお金を英国産の種馬に投資する。ところがそれも刑事は嗅ぎつけて、とうとう取り調べに至る。西原は恋人に励まされて何とか乗り切って、時効成立。

西原をギリギリまで追い詰める刑事役が金子信雄。出世はしないが操作の勘が抜群の老獪な刑事を「いかにも」といった感じで演じる。種馬を買う時に現れる競馬評論家が田中邦衛。そんな脇役たちのおもしろさもあって、89分全く退屈せずにB級映画を堪能した。

『黒線地帯』は、天知茂演じる週刊誌のトップ屋が麻薬売春組織に挑む話。それなりにおもしろかったが、これについては後日(かな)。『実録三億円事件』はあと1回の上映(35ミリ)が今日!

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