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2017年7月 4日 (火)

『ラスト・プリンセス』に泣く

韓国映画『ラスト・プリンセス―大韓帝国最後の皇女―』を劇場で見た。『八月のクリスマス』のホ・ジノ監督ということもあったが、日本統治時代に日本に連れてこられた韓国の皇女の話というだけで、見る義務があると勝手に思った。

見てみると、韓国映画にありがちなコテコテのメロドラマだったが、演出が細部まで繊細に行き届いていたので楽しめた。俳優もよかった。

映画の主人公は大韓帝国の初代皇帝の娘、徳恵だが、彼女は13歳で日本へ留学させられ、日本の対馬藩の跡取りと結婚を強いられる。精神に異常をきたすが第二次大戦後も韓国政府の方針で帰国を許されず、1962年になってようやく帰国する。

戦争をはさんで半世紀にわたる王女の数奇な運命を描く、いわば貴種流離譚だが、何度も泣いてしまった。徳恵が日本に行く時に、宮廷の侍女たちが一斉に並んでお辞儀をする場面、徳恵が日本の工場で強制労働を強いられている朝鮮人労働者を励ますシーン、徳恵の幼馴染であるキム・ジャンハンと戦後に精神病院で再会するシーン、そして願いがかなって帰国する空港の場面。

そのうえ、徳恵が兄の李英親王夫妻と密かに日本から上海に亡命しようとするシーンを始めとして、朝鮮独立運動家たちによる紀元節のテロなど、サスペンスやアクションも巧みに挟みこまれている。

セットで作られた日本の街や居酒屋がほんの少し違うと感じるほかは、戦前から戦後にかけての日本をきちんと描写しているし、日本語や韓国語の使い方も全く自然で違和感はない。

徳恵を演じるソン・イェジンが抜群にいい。徳恵の喪失感や悲壮感を体現している。そして彼女を支えるキム・ジャンハン(パク・ヘイル)も静かながら強い存在感を見せる。そのほか侍女役や悪役長官など脇役も見ていて楽しい。

劇場は年配の客でいっぱいで、「ああ、またあの男が!」などまるでお茶の間の雰囲気。そして途中からは鼻をすする音があちこちで聞こえた。

韓国で500万人を超す観客が見たというが、自国の悲しい歴史をプライドを失わずに見ることができる内容だったのではないか。日本人が見てもその感動は十分に伝わってくる。

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