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2017年7月19日 (水)

「不良が文化を創ってきた」に同感

「朝日新聞」の土曜朝刊文化面では角川春樹と佐伯泰英の両氏による往復書簡が連載されている。個人的には2人ともマッチョな感じで好きではなかったが、書簡はなかなかいい。先日の見出しは「不良が文化を造ってきた」で角川氏の手紙だった。

「いつの時代も不良が文化を創ってきた。ビートルズ革命も不良が創った文化だった」
「私の盟友であった作家の中上健次、俳優の松田優作。親しかった奴はみんな不良だった。
 不良とは「良」でないこと。何ものにも縛られない無頼の自由人であることだ」

私もこの年になると、この言葉がよくわかる。映画だと実際に会った感じでは、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)やジム・ジャームッシュは明らかに元・不良だと思った。ホウ監督は、ちょうど自分の映画『風櫃の少年』に出てくる、パンチパーマの感じがまさにそう。エドワード・ヤン監督の『台北ストーリー』でのホウさんの演技でもわかる。

もっと遡れば、ゴダールは明らかにそうだと思う。出自からするとトリュフォーが正真正銘の不良だが、作品にみなぎる怪しい精神は、ゴダールが数倍上だ。彼は映画のチョイ役で見ても、不良の感じがある。自分の『勝手にしやがれ』やリヴェットの『パリはわれらのもの』で見る彼は、ヤバい男そのもの。それにしても、今年のカンヌに出たというゴダールを主人公にした映画を早く見たい。

もともと文学や音楽や映画で食べて行こうというのは、不良だ。小さいころから練習が必要なクラシック音楽は違うかもしれないが、それにしても親も含めて尋常ではない情熱が必要だろう。

ましてある分野で新しい道を開くには、従来の決まり事を何とも思わない精神がないとできない。それはまさに不良。朝日新聞で角川春樹氏は、自分も不良だと言いたかったのだろう。見城徹氏に「春樹さんは、受けた傷が深かったから、今の豊かな人生があると思う」と言われて、「私の獄中体験を指しているのだろう」と書く。

詳しくは知らないが、麻薬で逮捕されて服役し、実弟に会社を取られたのは不良にふさわしい。それ以前に「角川商法」を打ち立てて、映画界の風雲児であったことも含めて。

残念ながら、万年宮仕えの私はそんな不良になる勇気も器量もない。せめて偉大なる不良たちをリスペクトしたい。あるいは、万が一大物になるかもしれないとんでもない不良学生を温かく見守っていたい。

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