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2017年8月24日 (木)

『天皇陛下の全仕事』に頭がクラクラ

『天皇陛下の全仕事』という新書を読んだ。もちろん学生の映画祭「映画と天皇」の準備のため。山本雅人という産経新聞の元皇室記者が書いたものだが、「天皇の仕事がいかに多いか」を知って頭がクラクラした。

この筆者のカウントだと、2004年の1年間の天皇陛下の日程からすべての行事・仕事をカウントすると710件。そのうち84%が皇居内の仕事だから、多くは我々の目には触れない。首相のように一日の「動静」が新聞には載らないし。ざっと1日2回。

例えば「信任状捧呈式」は、憲法に定められた国事行為で新しく来日した外国の大使に信任状を渡す行為だが、これが年間30~40回。こうした「人と会う」のが年に374件、事務処理が101件、儀式・式典出席が76件、説明・報告が56件、視察・鑑賞が52件、祭祀が32件。

そのうち天皇・皇后一緒に動くのが77%。皇后も大変だ。天皇の仕事は国事行為、公的行為、その他の行為に分けられる。国事は国会召集、大臣の任命、栄典授与など。公的は外国訪問、地方訪問、一般参賀、歌会始、園遊会、宮中晩餐会など。その他は福祉団体訪問や相撲観戦など。

国事行為は「内閣の助言と承認」に基づいて行われるが、公的行為はその必要がない。今の天皇が沖縄やサイパンや地震の被災地などに行くのは、自らの意思によるところが大きいのだろう。

この本を読んで一番驚いたのは、毎週火曜と金曜午後の「執務」。閣議がその午前中なので、終了後書類が運ばれて決済をする。署名をしたり、「可」「認」「覧」などの印を天皇自らが押す。この「執務」は「風邪」などを理由に休むことはできないし、地方にいれば、内閣官房の職員が飛行機で届ける。これだけで年間に約1100~1200件。

それらの書類は反対するわけにはいかないから、これはつまらない。これで定年がないのだから、会社員よりずっときつい。そのうえ、30を超える皇室祭礼がある。最も大事な新嘗祭は、天皇が古代装束を着て神に米や野菜を一つずつ捧げ、祝詞を読む。夕方6時に始まって2時間が「夕の儀」でさらに午後11時から「暁の儀」がある。神殿内は冷暖房もない。

この本には、ある2週間の日程が書かれている。ある日は、午前中に新嘗祭の米を見て、エストニア大統領夫妻と会見し、午後に納税制度尽力者と拝謁、永年灯台守との茶会、ケニア大統領夫妻との会見。いやはや。

天皇の退位の意志や一般人だった雅子さんのノイローゼもよくわかる。生まれて初めて天皇や皇族に同情する気になった。

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