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2017年8月31日 (木)

『アウトレイジ 最終章』に考える

ベネチアに着いたがまだ書くことがまとまらないので、この映画祭のクロージング上映となる『アウトレイジ・最終章』を試写で見たので書く。日本での公開は10月7日。見終わると「何言うてんや、どあほ」「あんたら、それでええんか」と思わず話せないはずの大阪弁が出てきそうな気がする。

昔、任侠映画を見てみんな鶴田浩二や高倉健の気分で映画館を出たというが、北野武の映画は現代では珍しくそんな気分にさせてくれる。シリーズの第3作。見ていると、同じ俳優がでているような気がするが、そんなことはない。当然だが山王会の会長役の三浦友和や若頭役の加瀬亮、花菱会の会長役の神山繁、刑事役の小日向文世などは「ビヨンド」で殺されているから出てこない。

前回から生きているのは、花菱会若頭の西田敏行とその補佐の塩見三省、あるいは山王会の古参の名高達夫や光石研といったところ。その分、前回よりも北野武演じる大友が前面に出る。

大友は「ビヨンド」に出てきた在日の張の庇護のもと、韓国で暮らしている。そこで花菱会の若手・花田(ピエール瀧)の暴走をきっかけに、日本に戻ってきて、復讐が始まる。

だから北野の活躍が多いのだが、彼の言葉はどこか間が抜けていて、歯切れが悪い。最初はそれがいいような悪いような感じがしていたが、韓国人に見せる時もあり、だんだんよくなった。

西田敏行と塩見三省は相変わらずの大阪弁の罵声ばかり飛ばすヤクザぶりだが、花菱会の会長となった元証券マンの大杉漣や大杉を支える若頭補佐の岸部一徳が対照的でおかしい。

韓国の済州島に住んで大友と行動を共にし、彼を助けるために日本にやってくる市川役の大友南朋が唯一感情移入できる得な役を演じている。彼ら2人がパーティ会場で機関銃をぶっ飛ばすシーンは、一番の見もの。

張を演じる金田時男が不思議な存在感を見せ、その側近役の白竜や津田寛治が在日の影を見せる。韓国の場面を含めて、日本でも韓国語が多いのも今回の特徴だろう。それが実に自然に収まっていると思ったが、韓国人が見たらどうだろうか。

既視感はあり過ぎるが、今回は北野武が最後まで出ずっぱりで自分で決着をつけるので、最後まで楽しむことができた。ベネチアではどのような評価を得るのだろうか。そしてこの黒字シリーズを終えた後は、どんな映画を撮るのだろうか。

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