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2017年9月11日 (月)

ベネチアもこれで最後か:その(8)イタリア映画

もう受賞結果が出ているが、ベネチアに来たからにはイタリア映画についてもっと書きたい。パオロ・ヴィルズィの「レジャー探し」についてはもう述べたが、コンペではほかにマネッティ兄弟の「愛と銃弾」Ammore e malavitaとセバスチアーノ・リーゾの「ある家族」Una famigliaがあった。

「愛と銃弾」は、キッチュなギャング映画にミュージカルを加えたようなもの。かつてロベルタ・トッレ監督の「死ぬほどターノ」という、シチリアのマフィアを描いたミュージカル映画があったが、これはナポリが舞台。いずれにしても普通のイタリア語ではないので、多くにイタリア語字幕がつく。

物語はヴィンチェンツォという漁業の元締めが、自分を死んだことにして、妻と逃げ出す芝居を打つところから始まる。彼は子分たちに後を頼みが、子分たちは抗争を始める。とにかく5分ごとにギャグがあり、アクションがあり、歌や踊りがあるので飽きない。これでいいのかと思いながら、最後までそれなりに楽しんだ。たぶんイタリア映画祭でやるのでは。

「ある家族」は、フランス生まれのヴァンサン(イタリアではヴィンチェンツォと呼ばれる)とマリアの奇妙な生活を描く。彼らは普通のカップルのように見えて、実は子供のない夫婦に子供を提供することを生業としていた、というもの。終始、ヒステリックな会話に終始して、見ていて疲れてしまった。

コンペ外で見たのが、シルヴィオ・ソルディ―ニ監督の「物事の隠れた色・エンマ」Il colore nascosto delle cose (Emma)。この監督はかつては『ベニスで恋して』が当たり、イタリア映画祭では常連だったが、最近はあまり見ないのできになっていた。

物語は、独身で恋人もいる40歳のテオが、盲目のエンマと出会い、恋をしてしまうというもの。エンマを演じるヴァレリア・ゴリーノがすばらしく、彼女のしゃがれた声が聞こえるだけで画面が色めく。取り立てて目立つところのない映画だが、しっかり作られている。これもイタリア映画祭でぜひやってほしい。

そのほかオリゾンティ部門で、スザンナ・ニッキャレッリ監督の「ニコ、1988」Nico, 1988とエドアルド・ウィンスピア監督の「共同生活」La vita in communeを見た。伝説的歌手のニコを描くドラマだが、私は彼女に思い入れのないせいもあって、ちょっと退屈した。しかし会場は盛り上がっていたし、この部門で最優秀賞を得た。この監督は「コズモナウタ 宇宙飛行士」をイタリア映画祭でやったが、見ていなかった。

ウィンスピア監督はかつて『血の記憶』が劇場公開されたし、イタリア映画祭でも『神の恩寵』などが出ている。今回の「共同生活」も監督の住むプーリアが舞台で、文学好きの市長を始めとする変人たちの騒ぎを描く。上映ではかなり拍手が起きたが、私は約束されたような笑いの安定感に引いてしまった。

この監督は日本に来た時には大いに盛り上がった気がするが、今回はすれ違って合図をしても気づいてくれなかった。そんなものだ。

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