« 『散歩する侵略者』を2度目に見ると | トップページ | 『奥田民生になりたい…』を見た »

2017年9月23日 (土)

そのほかパリで見た展覧会

パリで話題の新作映画が揃うのは、9月末。その前に日本に帰る私は、映画は諦めて展覧会を中心に見た。オルセーで見た「ゼザンヌの肖像画」はここに書いた通り衝撃的だったが、そのほかにも3つ展覧会を見た。まずポンピドゥー・センターでは「デーヴィッド・ホックニー展」。

これは10月23日までの開催だが、考えてみたらホックニーは60年代や70年代の作品をきちんと見たことがなかった。80年代後半のバブル期の日本で見た写真をコラージュしたものか、その後たぶん海外で見た動画を使った作品などしか知らなかった。

だから彼が60年代のプールで白いお尻を見せる若者を描く一連のゲイ・カルチャー的な作品も、視線の交わらない室内の夫婦を描くいくつかの作品も知らなかった。それから80年代から現在にいたる極彩色の風景画も。それらを見ていると、この画家の人間と自然への奇妙なまなざしが見えてくる。

期待したほどではなかったが、見ていていつも気持ちのいい、クールで距離感のある絵を描く人だと思った。2010-2011年の動画を組みわせた《四季 ウォルゲート・ウッズ》などは、座っていつまでも眺めていたくなる。

パリ装飾美術館で来年1月7日まで開催中の「クリスチャン・ディオール展」は、土曜の午後に行ったこともあって、ずいぶん混んでいた。そのうえに狭い通路で動画を見せるなど、展示方法が混雑を全く考慮していない。最初に年譜を持ってきたら、そこで観客が停滞して進まないことはわかりきっているのに。

展示自体は美的によくできていたしそもそも相当に金もかかっていたが、元展覧会屋からしたら、導線は全く考えられておらずひどい。前半は異常に高温で(確実に30度を越していた)湿度が高く、数点あったピカソやマン・レイの絵画などを貸した美術館が知ったらびっくりだろう。

それから、新しくセーヌ川の島にできた「セーヌ・ミュージカル」という坂茂設計の新しい音楽施設の初めての展覧会「マリア・バイ・カラス」のプレス内覧にも行った。こちらは会場内にマリア・カラスの声や歌が響き、さらにヘッドホンをつけてポイントに近づくと歌やインタビューが丸々聞けるというもの。

歌手の展覧会は建築や映画の展覧会と同じく難しいが、これはヘッドホン着用を前提として、音楽に没頭できる形になっていた。それはうまくできていたが、そうすると各自がヘッドホンの中に入り込んで一緒に行った友人といつの間にか離れ離れになってしまう。

それにしても、マリア・カラスについて語るヴィスコンティのガラガラ声が印象に残った。それから最後のコンサートは東京だったらしく、「ジャンニ・スキッキ」を歌う映像に日本語字幕がついていた。こちらは12月14日まで。私の場合、映画は見て数日するとほぼ忘れるが、展覧会はそうではないから不思議だ。

|

« 『散歩する侵略者』を2度目に見ると | トップページ | 『奥田民生になりたい…』を見た »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/65815409

この記事へのトラックバック一覧です: そのほかパリで見た展覧会:

« 『散歩する侵略者』を2度目に見ると | トップページ | 『奥田民生になりたい…』を見た »