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2017年9月 8日 (金)

ベネチアもこれで最後か:その(6)日本映画

今年は例年になく、日本映画や日本に関連した作品が多いベネチアだった。実は邦画は昨年、一昨年とコンペに入っていなかったのが、今年は是枝裕和監督の『三度目の殺人』が出た。公式上映に参加したが、かなりいい反応だったと思う。

この映画については既にここに書いたし、週末には封切られるが、今回2度目に見てようやくよくわかった部分があったことは書いておきたい。あえてそういう作りをしていると思った。

オリゾンティ部門では、『泳ぎすぎた夜』がフランス人のダミアン・マニヴェルと五十嵐浩平の共同監督で日仏合作。弘前のある少年の一日を追った映画だが、台詞もなく、固定ショットで描かれた雪の国の日常が、シンプルで典雅な輝きを見せる。これは十分に賞候補だろう。

コンペ外の『Ryuichi Sakamoto: Coda』は坂本龍一を日系アメリカ人のスティーブン・シブル・ノムラが追ったドキュメンタリー。11月4日公開のこの映画については後日詳しく述べるが、坂本龍一さんが来て記者会見などに出ていたのが、個人的には何とも懐かしかった。

坂本さんは同じ日のクラシック部門での小津の『お茶漬けの味』でもプレゼンターをした。かつて武満徹と小津の音楽はひどいので作り直したいと話をしたことがあったが、今思うと間違っていたとか、坂本さんの父親が酔って夜中の2時に帰ってくるとお茶漬けを食べていたことなど。

クラシック部門では溝口の『近松物語』と『山椒大夫』も上映された。こちらはカドカワの角川歴彦会長や撮影の宮川一夫さんの息子などが紹介した。

クロージングではコンペ外として、北野武監督の『アウトレイジ:最終章』が上映される。これについても既に書いているが、クロージングの招待客はどんな反応をするのだろうか。

そのほかにも日本をテーマにした映画があった。オリゾンティの「カニバ」Canibaはヴェレーナ・パラヴェルとルシアン・キャステイン=テイラーの共同監督の米仏合作のドキュメンタリー。中身は1981年の「パリ人肉事件」の佐川一政へのインタビューで、あえて相手に焦点を合わせない独特の撮影方法も含めて、かなり異色の映画だった。日本での公開は決まっていないというが、ぜひ見せて欲しい。

さらにコンペ外のジョン・ウー監督の「マンハント」Manhuntは、大阪を舞台にした映画で、福山雅治が主演。映画の出来は微妙だが、日本が舞台でありながら、日本人には絶対できない強烈なアクション映画であることは間違いない。日本語、中国語、英語がほとんど同じくらい混じってまさに無国籍。

ところで『アウトレイジ:最終章』の「最終章」は英語ではCodaと書かれている。これは坂本龍一のドキュメンタリーと同じ副題だ。何となく戦メリ以来の因縁のようなものを感じる。


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