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2017年9月21日 (木)

最近よく中年女性に声をかけられる

先日、神楽坂の毘沙門天前を歩いていたら、40代くらいの婦人警官からビラを渡された。「今すぐ返してあげたい/家族のもとに」と書かれていて、意味がわからない。きょとんとしていると、「もしお知り合いで行方不明の方がいらしたら、巣鴨のとげぬき地蔵で相談所を開設していますから」と言われた。

最初女性のお巡りさんに声をかけられた時、私は犯罪者と疑われているのかと身構えた。1990年代後半、オウム事件の捜査が行われていた頃、私は何度か警察に声を掛けられた。普通の30代の会社員に比べて、挙動不審な感じがあったのだろう。

当時は映画生誕百年企画とかルノワール映画祭、あるいはポンピドゥ・センター展などをやっていて、とにかく忙しかった。自分が世界を支配しているような気になって、いつも睨むようにして歩いていた。その様子がたぶんオウム幹部に見えたのかもしれない。

当時はフランスから帰国時に税関で出国する時に、別室に連れていかれたこともある。たまたまイッセイ・ミヤケのスタンドカラーのシャツを着ていたので、オウム信者と思われたのかもしれないが。手荷物をすべて調べられ、「フランスに何度も来ている。パリの地下鉄の定期まで持っている」と怪しまれた。

さて、ビラを渡された私はその後、婦人警官を遠くから見ていた。ビラを渡しているのは、私のような50代でちょっと暇そうな男性ばかりだった。つまり自分の両親がどこか行ってしまって、一人で悩んでいそうな男に声を掛けていたのだ。ひょっとすると、私はこの20年で「怖い人」から「声を掛けやすい人」に変わったのではないか。

そういえば、フランスでも40代女性に声をかけられた。帰りに税関審査を待っていたら、行動的な感じの西洋人のおばさんが、いきなり英語で「日本に行って自転車で回ったの。南の島が特によかった」と話しかけてきた。聞いてみると「南の島」とは九州のことだった。「どこのご出身?」と聞くと、「ブラジルよ」。幸か不幸かそれを聞いて、横からアルゼンチンの女性が割り込んできたので、会話は終わったが。

飛行機に乗ると、乗客の一人が病気とわかり、出発が遅れた。目の前にいた日本人の客室乗務員は「ルモンド」を読んでいた私のそばに来て「フランスの新聞はほかにもありますから、お読みくださいね」と新聞数紙を持って親切に話しかけてきた。ほかには誰にもそういう対応はしていないから、ちょっと特別扱いだった。

ベネチア映画祭でも、ピザを買いに行くと、売っている女性がいつも喜んでくれた。なぜなら私は「ピザの具の全部乗せ」というメニューにないものを注文し、それに自分で勝手に「ファンタジア」と名付けていたら。私の顔を見るだけで彼女は大喜びだった。こちらは20代の女性だったが。

たぶん最近の私は、いつのまにか「声を掛けやすい人」の風貌になったようだ。大学に8年以上いることが大きいのかどうか。このまま行くと老人ホームではモテモテになるのではと心配するが、それはたぶん考え過ぎだ。

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コメント

老人ホームは、断然女性の方が多く、男性はもてるような感じのようです。
おやじの老人ホームに行ったとき、そこに入っている、おばあさんから、「あなた、若いわね、いくつ?」と聞かれた。
ぼくが老人ホームに入っていると思っていて、聞いたことがわかり、親父の見舞いですといったのだけど、ショックでした。

投稿: jun | 2017年9月21日 (木) 23時13分

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