トップが変わってもあまり変わらない東京国際映画祭:その(1)
今年も東京国際映画祭が始まった。今年は第30回だが、トップが椎名保さんから久松猛朗さんに変わった。確かに記念の年にふさわしく、去年までよりお祭り感は出ている。
まずチラシやポスターが華やか。蜷川実花の極彩色の写真を使っているのはいいが、筆でTokyo FILMと書かれているのは少し恥ずかしい。チラシの中を開けると、イラストを使った案内もあって楽しそうではある。そしてコンペなどの「本体」以外が増えている。
一番目を引くのは「ミッドナイト・フィルムフェス!」か。28日(土)に3スクリーンを使ってジョージ・A・ロメロ特集などをやる。昼間にも特集上映は多く、ソダーバーグ3本、ミュージカル6本など。それから去年もあった野外上映が今年はずっと増えて、これまでこの映画祭で上映された中から30本ほどを無料上映。
そのほか数年前からやっている1人の監督特集は「原恵一の世界」で、「歌舞伎座スペシャルナイト」も行ったことはないが続いている。一昨年から始まったJapan Now(何とダサい命名)部門は、今年は蒼井優、宮崎あおい、満島ひかり、安藤サクラの女優4人を特集している。
だから賑やかな「感じ」はあるが、この2日間六本木ヒルズを見ている限りではあまり変わらない。そういえば、昨日の「朝日」夕刊1面に「東京国際映画祭、ふらっと見に来て」という記事があった。それによると渋谷でやっていたころは2、3万人だったが、昨年は1万人を割ったという。
その数字が本当なら、イタリア映画祭より少ないではないか。それはともかく、その記事にも書いてあるように、「渋谷では…街全体が映画祭の雰囲気に包まれたが、六本木ヒルズは構造上、にぎわいが周辺に伝わりにくい」。先日の映画祭初日のパーティで会ったカンヌ国際映画祭関係者も私に言った。
「渋谷時代のほうがまだマシだった。雰囲気が良かった。本当なら銀座がいい。東京フィルメックスはあの場所だけで得をしている。もちろん、あちらは少ないスタッフが誠実な仕事をしているのが第一だけど」。そこで私が「東京フィルメックスのスタッフが東京国際映画祭映画祭をやったらいいと、6、7年前に書いたことがあるが」と言うと、「それはすばらしいアイデアだ。記事の反応はなかったのか」
で、肝心の本体はどうかと言うと、コンペを5本見た印象では「例年以上に地味」。先週のプレス試写では「コンペはガマン大会」という声も出ていた。今年も朝日新聞デジタルの星取表があるので、コンペはすべて見る予定。個々の作品については、星取表のコメントがアップされた後にここにくわしく書く。
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