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2017年10月 1日 (日)

「さん」か「くん」か

私は自分の学生を基本的に「さん」と呼ぶ。これは会社員時代からの習慣で、特に新聞社は自分より若い人、入社年が遅い人を「君」と呼ぶことが多いが、私はそれが嫌だった。「君」と言ったとたんに下に見る感じが出るから。

新聞社では自分自身が30歳を過ぎての途中入社だったから、微妙な立場だったこともある。新聞社は軍隊と同じく入社(隊)年次を特に重要視するから、私などは扱いに困っていた。私も同期入社の5歳以上若い社員をどう呼ぶか迷った。その結果すべて「さん」にした。

それ以上に最初に勤めた政府機関の先輩Wさんが、新人の我々に対して「さん」づけをしてくれたのが大きかった。彼は上司の課長や部長に対してもすべて「さん」づけだった。彼の論理は、年が上だからいい仕事をするとは限らない、若い人もリスペクトする、というものだった。

その考えは新聞社でイベント企画をやる仕事においては、いよいよ正しかった。新人でも実にいい企画を出す社員がいる。年配の社員はむしろ邪魔な場合が多い。だからすべて「さん」だとフラットでいいと思った。

大学に移って、学生は何となく新入社員に見えたから、原則「さん」にすることにした。女子を「さん」で男子が「くん」というのも妙だし。それ以上に、同僚から「先生」と言われるのは嫌だった。私にとって「先生」という言葉は、尊敬しない人物にゴマをする時に使うものだったから。だから同僚にはお願いしてお互いに「さん」で通している。

最初は学生にも「さん」と言わせたが、それはやめた。授業をしている以上、しょうがないと思った。学生の中には「さん」と呼んでいいかと聞く学生が毎年いるので、それはかまわないと答えることにしている。同僚の教員のなかには、学生を「さん」も「くん」もなく「おい、田中」などとと呼び捨てにする人もいる。それはある意味で体育会的な愛情を含む部分もあるが、私は苦手だ。

もちろん仕事上で会う外部の方は、年にかかわらずかなり親しくても「さん」が当たり前だ。ある時、私をいつも「さん」と呼ぶ5歳上の映画関係者Oさんと飲んでいて、そこにはさらに10歳くらい上の方もいた。その時Oさんは私に「古賀くん」と呼んだ。これは同席した年上の方に対して上下関係を見せたかったのだと思う。

こんなことを思いだしたのは、最近自分が似たような体験をしたから。私よりも年上の方が多い宴会の席に学生を数名連れて行ったが、私は学生に「くん」づけをしていた。たぶん自分の子分だということを無意識に見せたかったのだろう。

たかが「さん」や「くん」や呼び捨てにたいした違いはないようにも思えるが、「先生」も含めて呼び名は実は奥が深いのでは。

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