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2017年10月23日 (月)

『女神の見えざる手』のジェシカ・チャステインがいい

始まったばかりのジョン・マッデン監督『女神の見えざる手』を劇場で見た。日経や読売の映画評で絶賛されていたから。これは試写状も来ていたが、邦題が安っぽい感じで行く気がしなかった。

ところが実際に見てみると、邦題の安易な感じは全くゼロでかなり渋い。ジェシカ・チャステイン演じるロビイストのスローンが銃規制法案の成立のために、ありとあらゆることをして孤独に突き進む。

もともと陰謀ものは好きだし、「勝つために手段を選ばない」登場人物は見ていて嬉しくなる。ましてそれが謎めいた美女だとなおさら。

最初の大手ロビー会社を辞める時に、次の会社に部下がずらりと付いてゆくのがカッコいい。スローンは眠る暇もないほど働き、パワハラはいつもでコンプライアンスなんかない。そして部下も信用しておらず、スパイを見破ったり、おとりに使ったり。

とりわけ、テレビの生番組で側近の女性の過去まで暴いて自分に有利に進める場面は凄まじい。そんな時、スローンは少し心が揺らぐ表情を見せる。ノリノリで行きながら、そんな躊躇が時おり見えるのもなかなか。

素人の弁護士が脚本を書いたというが、アメリカの政治の裏表を知り尽くした感じで語りも巧み。冒頭に国会の聴聞会でスローンが糾弾されるシーンを見せて、3か月前に戻る。最初は万事うまくいったスローンの作戦が躓き始めたところで、聴聞会に戻る。そしてそのラストの展開にあっと驚く。

ジョン・マッデンの演出は手堅く、132分間を一瞬も退屈させない。別に大傑作と騒ぐものではないが、アメリカならではのロビイストの世界をたっぷり堪能できる。最後まで謎めいたままで終わったスローンの姿を見ると、続編も可能じゃないかと思った。

朝日の北野武インタビューでが「アウトレイジ」の政治篇を作ったらおもしろいのではという話があったが、ぜひ日本でも元議員秘書や党職員などが脚本を書いて欲しい。

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受信: 2017年10月25日 (水) 02時47分

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