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2017年10月12日 (木)

壊される建物を見るのが好き

自宅から歩いて200メートルほどのところで、再開発が始まった。要は一軒家や小さなビルをいくつも壊して、大きなマンションを作っている。私はその解体現場を見るのが大好きで、いつも通りながらぼーっと見ている。

建物というのは、作る時は丁寧に時間をかけてガラスを入れて照明器具や冷暖房をつける。ところが壊す時はあっと言う間。照明などは中古で使えるのではないかと思っても、ブルドーザーで一挙に壊す。

するとコンクリートの間から鉄骨がはみ出す。そこに木材もガラスも一緒に混じる。まるで現代美術みたい。この状態でどこに捨てるのだろうかと思う。ひょっとするとアスベストも出ているかもしれない(まだ原一男監督の新作が頭に残っている)。どこかの海岸や山に埋めるのだろうか。

新築の時は、そこに住んだり事務所で使うのがみんな嬉しかったに違いない。それから、それぞれの場所に思いもあったろうが、壊してしまうとみんな同じガラクタになる。そしてどこかに埋められる。

現在の日本では空き家が増えているらしい。住宅の2割は空き家という数字を読んだこともある。人口は減っているのに毎年新築の件数が解体数を上回っているので、空き家はさらに増え続けるらしい。

私はかつて中古のマンションを買った。ずいぶん手を入れて住んだが、結局数年後に売って新築を買いなおした。もう20年にもなるが、やはり新築から住んだ方が愛着がある。周囲も含めてその変化を最初から見てきたからか。

要は日本人は新築が好きなのだ。パリのように19世紀(あるいはさらに前)の石造りのアパルトマンに住むような文化ではない。そんな「永久」は嫌いだ。ちゃちな建物を新しく建てて、へたをすると十年もたつと壊してまた作り直す。

ここで空き家問題について論じるつもりはないが、たぶん日本で空き家は増え続けるだろう。そうしてだんだん国家全体が幽霊屋敷のようになるのではないか。ひょっとするとそうした空き家に勝手に住む人も出てくるかもしれない。それを目当てにやって来る外国人もいるだろう。物騒な世の中になるだろうが、それも楽しいかも。

解体作業をボケーっと見ながら、50代後半の男はそんな日本の悲しく楽しい将来を考えている。

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