« トップが変わってもあまり変わらない東京国際映画祭:その(5) | トップページ | トップが変わってもあまり変わらない東京国際映画祭:その(6) »

2017年11月 4日 (土)

映画祭の合間に展覧会2つ

東京国際映画祭の映画の合間に、六本木で2つの展覧会を見た。1つは国立新美術館で12月18日まで開催の「安藤忠雄展―挑戦―」。一般的に言って、建築の展覧会はおもしろくない。

絵画や彫刻はそのものを展示できるが、建築は会場で展示するのは図面、デッサン、模型、写真、動画であって建築そのものではないから。この展覧会はその常識を破って、安藤の「光の教会」そのものを野外に再現している。

ここの中に立つと、彼の建築思想がよくわかる。実際に使われている教会は光が入る部分にガラスを入れているらしいが、こちらは当初の意図通りにガラスなし。正面に光の十字架が見えるし、右側は屋根の部分が少し空いている。自然とコンクリートだけで空間を成立させている。

そのほかの展示も模型が大きいし、動画も見やすいので通常の建築展の何倍も楽しめる。自分が行ったことのある直島や大阪の今はなきサントリー・ミュージアム、ベネチアのプンタ・デラ・ドガーナなどは、思い出しながら見た。

彼の建築は、「光の教会」や「水の教会」や直島やサントリー・ミュージアムのように周囲の自然をそのまま使える場合にはうまくいく。あるいはプンタ・デラ・ドガーナや準備中のパリ証券取引所のように、古い施設の大枠をそのまま使って現代的な建物にするのもうまい。

要は建築そのものよりも、その周囲との調和のとり方が天才的なのだろう。だから表参道ヒルズのようなショッピングセンターや六本木の21_21デザインサイトは今一つピンと来ない。この2つは地下を中心に使っており、直島の地中美術館などもそうだが、この地下利用は私にはあまりうまく行っているようには思えなかった。

平日の昼間だったが、若い人を中心にかなり混んでいた。土日だと「光の教会」は並ぶことになるのではないか。これは、あえて雨の日にもう一度見てみたいと思った。

もう1つの展覧会は、サントリー美術館で明日まで開催の「天下を治めた絵師 狩野元信」展。「狩野派」というのは15世紀から幕末まで400年にわたって御用絵師となった最大の画派だが、元信はその2代目で繁栄の基礎を築いたという。

《四季花鳥図》などの屏風絵を見た感じは、まさに「完璧」。中国の山水画を再現しながら和風の情緒が加わっている。何だかどれもコンピューターでも使ったように完全な配置で乱れがない。元信は真・行・草の3種からなる「画体」という型を作ったという。それを弟子たちに学ばせて、集団制作を可能にしたらしい。

中国風の絵ばかりではなく、やまと絵にも進出している。極彩色の絵巻や美人画もあった。どれを見てもあまりに整い過ぎて、私にはちょっと近寄りがたい気がした。こちらは中高年女性を中心に平日昼間でもかなり混雑していた。東京には働かなくても食べられる人々がまだまだたくさんいる。

|

« トップが変わってもあまり変わらない東京国際映画祭:その(5) | トップページ | トップが変わってもあまり変わらない東京国際映画祭:その(6) »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/65996801

この記事へのトラックバック一覧です: 映画祭の合間に展覧会2つ:

« トップが変わってもあまり変わらない東京国際映画祭:その(5) | トップページ | トップが変わってもあまり変わらない東京国際映画祭:その(6) »