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2017年11月17日 (金)

『5パーセントの軌跡』は辛口のコメディ

1月13日公開のドイツ映画『5パーセントの奇跡』を見た。監督のマーク・ローテムントは、かつて『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』(2005)をドイツ映画祭のオープニングでやった時に東京で会っていたので、懐かしかった。

『白バラの祈り』は、ナチスに反抗して戦った女子学生、ゾフィー・ショルとその仲間たちを描いた悲劇的なドラマだったが、今回はコメディタッチの映画だった。共通しているのは実話をもとにしている点と、1人を中心にそのまわりの人々をきちんと描いている点だろうか。

主人公のサリーは、ある日突然網膜剥離で5%の視力になる。ホテルマンになることを夢見ていた彼は、そのことを隠してミュンヘンの大ホテルの研修生となる。そして必死の努力と友人たちの助けで本採用までたどり着き、恋人もできるという話。

視力が弱くてあちこちにぶつかって怪我をする。最初は見ていて痛々しいが、毎回それをユーモアで包み込み、軽快に進む。扱いの難しいデリケートなテーマだが、障がい者の日常の真実を見せながらも人生の楽しさを味合わせてくれる。

彼をカバーする仲間たちがいい。同じ研修生のマックスはいい加減な男だが義理堅く、厨房で会った皿洗いのハミドはアフガニスタンの難民だが、彼と協力し合う。料理長は彼の障がいに気づくが、黙って気を配る。

サリーがスリランカ人の父とドイツ人の母のハーフというのは実話から来ているが、これが全体に外国人を許容する優しい雰囲気を醸し出す。故郷では外科医だったハミドとの友情もいい隠し味だ。

少し辛口だがハッピーエンドなので、いろいろ悩んでいる人には気分がすっきりする映画だろう。エロチックなシーンもうまく混ざっているのもドイツ映画らしい。

かつてドイツ映画祭をやっていた私にとっては、ホテルの支配人役のアレクサンダー・ヘルトや給仕長役のヨハン・フォン・ビュローなどの名脇役が出ていたのも懐かしかった。最近は、何を見てもノスタルジアに浸る。

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