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2017年11月23日 (木)

東京フィルメックスはまだ続く:その(1)

2000年に始まった東京フィルメックスが今年も開催中だ。同じ会場で(第1回は今はなきテアトル銀座)同じような規模で同じような内容で、林、市山という同じ主要メンバーが20年近くも続けているのは奇跡的なマンネリというべきか。考えてみたら、毎年通っていた。

最初、アジアを中心にした映画祭でいい作品が揃うのかと思ったが、それからアジアにはどんどんいい監督が出てきた。先見の明があったと言える。

今回最初に見たのは、キン・フーの『山中傳奇』(1979)デジタル復元版。この監督はフランスでは有名だったが、日本ではなかなか見る機会がなかった。私は1984年にパリで『侠女』(71)を見て、1990年頃に池袋のキン・フー映画祭で『忠烈図』(75)を見たくらい。

当時はその大時代がかった歴史アクションが冗漫に感じて、あまり好きではなかった記憶がある。しかし今回見ると、人間が山奥の大自然のなかで幽霊たちの魔術に翻弄される世界がおおらかなユーモアに感じられて、191分を堪能した。

主人公のホーは、経典を清書するのが仕事で、依頼に応じて山奥に行く。そこでユェニャンに見初められ、いつの間にか一夜を過ごす。ところがホーはその後別の女性イーユン(シルヴィア・チャン)と出会い、惹かれる。怒ったユェニャンは、イーユンに戦いを挑む。

ところが実は女性は2人ともかつて死んだ幽霊で、彼らを退治するラマ僧が出てくる。彼はオレンジの幕に彼女たちの過去を写して見せる。ホーを導くツイやユェニャンの母でコミカルなワン夫人、言葉が不自由なチャン(彼の物語も幕に写る)などが混じって、奇想天外な話が次々と続く。

大自然のなかで、蓮の池、昆虫、雨などのモンタージュだけでセックスが暗示される。2人の女やラマ僧の弾く鼓やシンバルや太鼓が鳴り響き、七色の煙幕が宙を舞う。主人公のホーはオロオロするだけだが、とにかく青い美しい紙に写経は成し遂げて、一件落着。

この復元版はスクリーンで見てよかったと納得。衣装や楽器、写経の青い紙などの凝った美術もきちんと見える。幸先のいい今年のフィルメックスとなった。

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