今年も学生映画祭:その(1)
今日から私の学生が企画する映画祭が渋谷のユーロスペースで始まる。今年で7年目だからいいかげん飽きてきたが、今年のテーマは「映画と天皇」。女子学生が出した案だが、何ともタイムリー。
昨年の天皇の「お言葉」や眞子さまの婚約報道があって、平成生まれの学生たちが天皇制について真面目に考え出した。14人の学生の中からは最初は「まじか」「やばい」「危ない」と反発もあったが、劇場と相談するうちに決まった。
驚いたのはメディアの反応。まずツイッターでテーマを発表したら、しばらくして東京新聞から大学に電話があった。検索で知ったが取材したいとのことで、7月に最初の取材を受けた。それから10月にも再取材があって、10月末に東京夕刊社会面のトップに出た。
これが早く出たこともあって、その後は取材が相次いだ。朝日が11月22日夕刊の社会面トップ、産経は朝刊映画面、毎日が東京版。昨日は読売が朝刊教育面、日経は夕刊社会面。週刊文春は「この人のスケジュール」。そのほか「映画秘宝」「キネマ旬報」「赤旗日曜版」などに案内が出た。会場へはテレ朝やNHKが来る予定。
タイムリーな企画だとは思ったが、まさか映画祭初日の前日に譲位時期の閣議決定がされるとは思わなかった。もちろんこんなに出たのは7年間で初めて。学生も「ほかに出るとみんな押し掛ける」というメディアの体質を思い知ったのではないか。メール取材だけで済ませる記者や組みゲラを送って確認を取る記者がいるのも学生は知った。
もちろん露出が多いからといって、客が入るとは限らない。去年の「宗教映画祭」は一昨年の「ニッポンマイノリティ」に比べて露出は少なかったが、「宗教」というテーマが妙に客を読んだ。「信じるとは何か考えたい」「信じる人を見たい」とみんなが思ったのだろう。
今回の映画祭に皇室好きが行くかというと、そんなことはないのではないか。多くの映画は天皇制を批判するものだし。来るとしたら、むしろ普通の人々が譲位の閣議決定をきっかけに「天皇とは何か」と考えようと思って来るだろう。
チラシの表には「さらば、平成」、中面には「日本のすがたが見えてくる」というコピーが書かれている。もちろん学生が考えたものだが、私が好きだった「ありがとう、天皇陛下」というのはどこかでボツになったようだ。
1週間で2100人入った去年の2倍パブリシティが出たが、さてどれだけお客さんが来るだろうか。このスリルがあるからやめられない。
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