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2017年12月19日 (火)

映像配信の時代に

アスミック・エースの母体であるアスミックの創立に参加し、その後独立して映画業界でVHSからLD、DVD,ブルーレイを売ってきたOさんに大学で話をしてもらった。その時一番驚いたのは、「配信される映画は極めて限られている」というものだった。

DVDのような形のあるものを作ると最低コストがかかるが、配信はどんなに少ない需要にも対応できると思っていた。配信がビデオ・オン・デマンド、つまり一本ごとに払うシステムの時はまだよかったが、ネットフリックスやアマゾンのように定額制になると供給側に払われる金額が小さくなるうえ、マイナーな作品は扱ってくれないという。

つまり定額制の配信大手は、劇場で当たったメジャー作品かメジャー感の強いオリジナル作品で新会員を集めることしか考えておらず、いわゆるアート系の映画には見向きもしないらしい。考えてもみたら、私も配信は利用していない。

時々急に本を入手する必要があるのでアマゾンのプライム会員になっているが、それがいつの間にか映像配信を見られるようになった。案内のメールが来るのでサイトを見てみるが、確かに見たいものがほぼ全くなかった。私は今でも、これまでDVDにならなかった作品が出たらすぐに買うし、既に持っていてもデジタル復元版ブルーレイが出たら入手する。

そしてDVDやブルーレイが並んでいる棚を見るのが好きだ。それを見ながら、「あの映画はよかったなあ、また見てみようか」と考える。つまりは従来型の「コレクター」だが、こんな人が少なくなっているのだろう。

VHSやDVDなどを業界では「パッケージ」というが、この売り上げが一番だったのは2005年で3500億円。今ではこれが2000億円を切っている。逆に配信は今年はたぶん2000億円に迫るだろうと言われている。だから大手に関して言えば、この10年のパッケージ不振を配信が補ってくれていることになる。

問題はマイナーなアート系作品で、DVDをたった1000枚作ることも多いという。まだ私のような旧世代のコレクターがいるからいいが、この需要は今後どんどん減るだろう。

ちなみに先日の学生の映画祭で上映した深作欣二監督の『軍旗はためく下に』も西河克己監督の『孤独の人』もDVD化されていない。トークに来た佐藤優さんは、「『軍旗はためく下に』は今のテレビ局はビビッて地上波では放映できないだろう」と言った。この作品はアマゾンプライムでは400円追加で見られる。この作品に需要があることを製作の東宝は知っていて、自主規制しているのだろう。

アート系作品や古典を中心に集めた配信サービスができたらいいのだが、そんな儲からないことをする企業はないのだろうか。

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