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2018年1月28日 (日)

ついでに見た展覧会2つ

展覧会は、映画と違って見るのに時間がかからない。普通は30分強で、つまらないと思ったら10分でも見られる。たまたま通りがかったり、空いた時間をつぶしたりするために、展覧会を2つ見た。一つはBunkamuraで3月11日まで開催の「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界」展。

去年、国立西洋美術館で驚異的なアルチンボルド展を見たが、この展覧会もメインビジュアルにはアルチンボルドの果物や植物で作った顔の絵が使われている。この顔の主がこの展覧会のテーマである「ルドルフ2世」。

実はアルチンボルドの絵はこの1点だけ。アルチンボルド展でもそうだったが、こちらも16世紀後半から17世紀の神聖ローマ帝国の首都だったプラハがヨーロッパの中心=世界の中心として、世界中のものを集めた時代の精神に焦点を当てている。有名な画家の絵はあまりないが、実に興味深い。

天文学、植物学、動物学、鉱物学などの発達によって、世界の珍しいものを王様の目の前に並べる。これが「驚異の部屋」のコンセプト。だから展覧会にはガリレイの『天文対話』(1632)や彼の望遠鏡の複製、この宮廷で活躍したケプラーの『コペルニクス天文学』(1618)などの本も並ぶ。

あるいは映画前史で重要なアタナシウス・キルヒャーの著書『光と影の大いなる術』もオリジナルがあった。世界を見たいという欲望は当然ながら映画につながることは、最初のリュミエールやエジソンの映像を見ればよくわかる。

アルチンボルドの《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世》では、60種類を超す世界の果物や植物が使われている。ウェルトゥムヌスとはギリシャ神話の果樹園をつかさどる神様のようだが、世界の植物で自分の顔が描かれたことに喜んで、アルチンボルドを重用したらしい。

そのほか、博物誌的な動植物の絵の数々、錬金術や鉱石の本、貝殻や鉱石を使った杯や皿、時計、鍵、天球儀などなど。こんなものを集めて世界を支配した気分で王様は喜んでいたのだろう。

それに比べると今日までサントリー美術館で開催の「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」展は極めてオーソドックスな展覧会。16世紀以降、中国陶器に魅了されたヨーロッパの王室が、18世紀後半から中国のような硬質磁器を独自に作り出す。

マイセンやセーヴルがその代表で、マイセンはポンパドゥール夫人やマリー=アントワネットの希望に応じて、華麗なティーカップや壺を作り出す。一番おもしろかったのは、展覧会の最初にあった《マリー=アントワネットのための乳房のボウル》。形のよい茶碗の下に赤い乳首がくっついていて妙にエロチック。

それから19世紀から現代まで展示は続くが、ここではアメリカ人ダンサーのロイ・フラーに捧げる《ダンサー》という一連の像がおもしろかった。両手で大きな布を持って踊ったダンサーだが、吹き抜けにはゴーモン社が撮った彼女が躍る映像が大きなスクリーンで見せられていて、私には興味深かった。どうも何を見ても映画につながってゆく。

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