『デトロイト』の緊張感
今月26日公開のキャスリン・ビグロー監督『デトロイト』を試写で見た。この監督は『ハートロッカー』も『ゼロ・ダーク・サーティ』も極限状態に置かれた人々を恐るべき緊張感で描いてきたが、今回は密室劇でそれがさらに高まった感じ。
彼女の映画はいつも政治的なコミットがある。『ハート・ロッカー』はイラクで爆発物を処理する兵士の実態を暴き、『ゼロ・ダーク・サーティ』はアメリカのビンラディン捜査に疑問を投げかける。
今回は現代ではなく60年代の話だが、「デトロイト暴動」の中で警官たちが黒人を3人も殺しながら無実になった事実を暴く。「デトロイト暴動」とは、1967年夏に自分たちを差別する社会に黒人たちの不満が爆発して一部が暴徒化し、警察を導入した事件。43人が亡くなり、1100人以上の負傷者が出た。
映画はその暴動3日目に起こったことを描く。自分たちのコンサートが暴動で中止になったラリーとフレッドは、アルジェ・モーテルに泊まる。そこは若い黒人客で盛り上がっており、そのうちの1人はおもちゃの銃を警察に向けて発砲した。狙撃者がいると勘違いした警察は、モーテルを取り囲む。
数名の警察官は8人を密室に拘束して、「銃を出せ」と迫る。どの部屋からも銃が見つからないため、あせった警官たちは暴力を加えながら尋問し、とうとう1人を殺してしまう。そしてさらにエスカレートする。近所の黒人警備員(ジョン・ボイエガ)は、それを見ていた。
これが40分も続く。カメラはめまぐるしく動き、四方から撮影した短いカットが畳みかけるように不安を高める。見ていると自分も密室に閉じ込められて尋問されているようで、まさに「衝撃の40分」。
事件は終わり、裁判になって驚くような結末で終わる。最後に8人や警察のその後が語られて、この事件が実はまだ終わっていないことがわかる。今回は過去の話のように見えたが、やはり現在進行形の問題提起だった。142分を見終わると、ぐっと疲れた気分になった。
映画として劇的であるよりも、何より臨場感と政治的問いかけが前面に出る。こんな志の高い映画を私より10も上のアメリカ人女性監督が作っていることに驚く。
いくつかの言葉も気になった。Yellow=黄色人種は「卑怯者」と訳されていたし、ボイエガ演じる警備員は騒ぐ若い黒人に「アンクル・トム」とバカにされる。白人になついた黒人の意味だろう。ベトナム復員兵は「GIジョー」と呼ばれていたし。
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コメント
グサっと突き刺さってくる、2時間22分、でしたね!(汗)
投稿: onscreen | 2018年1月19日 (金) 19時30分