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2018年1月16日 (火)

『キングスマン』続編に考える

最近、邦画もアメリカ映画も続編ものが増えた。昔から「007」や「寅さん」などはあったけど、それらは急に1本だけ見てもわかるようにできていた。ところが例えば今回の「スターウォーズ」は、ある程度その物語を知っていないと、とても楽しめない。いわばオタク向けだ。

『キングスマン:ゴールデンサークル』は『キングスマン』の続編だが、前編を見ずに劇場に見に行った。マシュー・ヴォーン監督は、これまた未見の『キック・アス』を数年前に私の学生が「生涯の映画」と呼んでいたのを覚えていた。

最初は、さっぱりわからなかった。主人公らしいエグジー(タロン・エガートン)が「キングスマン」の店から出てくると、いきなり見知らぬ男に襲われて車に乗りながら乱闘が始まる。それも男はSFまがいの機械仕掛け。一方エグジーには、なぜかスウェーデン王女の彼女がいる。

これは前作で出てきた人々だなとは感じたが、わからない。いきなり第2作を見たのは失敗だったと思い始めたが、だんだん妙な感じが出てきた。敵の「ゴールデン・サークル」のボス・ポピーはジュリアン・ムーアで、なぜか1950年代風のエセ豪華な建物に住んでている。そこに誘拐されてピアノを弾いているのは、何と本物のエルトン・ジョン。

「ゴールデン・サークル」が世界に麻薬を広めているが、アメリカの大統領はそれを容認しているという構造が出てきて、がぜん面白くなった。巨大なスタジアムに1人ずつ檻に入れられた人々を無限に積み重ねたシーンなんて、ほとんど終末図のよう。

あるいはジュリアン・ムーアのハンバーガー製造機は、人間を飲み込んでミンチにしてしまう。また、タロン・エガートンに下着の女性が迫ってくると、陰部に手を当ててその奥の奥まで映像が見えてしまう。こうしたエロ・グロ・ナンセンスが散りばめられている。

そのうえ、フォックスTVが大統領を応援するニュースを流しているのも、今のアメリカそのまま(ちなみにこの映画は20世紀フォックスの配給)。それから精神に異常をきたして蝶に取りつかれたコリン・ファースが出てきて、少しずつ立ち直るあたりから、本当に載ってきた。

タロン・エガートンとコリン・ファースが英国調の背広を着こんで、武器にもなる雨傘やアタッシュケースを持ち出して敵の本拠地のカンボジアに向かう。これがカンボジアというあたりが、いささか植民地主義的か。

キッチュとエログロとユーモア一杯のSFを楽しんだが、それでも前作を知らないとわからない点も多い。ネタを知り尽くしたオタクへと誘う最近のシリーズ化は、「世界の日本化」という気もする。

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