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2018年2月 8日 (木)

フィルムセンターが独立

一昨日からフィルムセンターが「国立映画アーカイブ」として4月1日から独立するというニュースが流れている。これまで東京国立近代美術館(東近美)に所属する組織だったものが名前を変えて独立するということだが、映画好きでもこのニュースの意味はわかりにくいかもしれない。

建物が新しくなるのでもなく、仕事内容が変わるわけでもない。なかで働く人々もほとんど変わらないのだから。

現在、「独立行政法人 国立美術館」には東近美のほか、上野の国立西洋美術館、六本木の国立新美術館、京都国立近代美術館、大阪の国立国際美術館の5館がある。「国立映画アーカイブ」はこれまでの東近美所属ではなく、6つめの「国立美術館」となる。

ますますわかりにくい。では上野の東京国立博物館はといえば、京都や奈良や九州の国立博物館等と共に「独立行政法人 国立文化財機構」で別組織。国立映画アーカイブは、「国立美術館」のなかで、独立して格上げになったと考えればいいだろう。つまり会社なら部が局になったようなもの。あるいは防衛庁が防衛省になったのに近い。

それが何を意味するのか。これから先は私の憶測だが、まず財務省への予算要求から決算まで経理のすべてを東近美の傘下でやらないといけなかったのが、独自にできる。事業内容はこれまでもフィルムセンターの内部で決めていたが、東近美の「了承」が必要だった。これからは経理も総務も人事も独自になる。

「国立映画アーカイブ」という名前になったのも大きいのでは。「フィルムセンター」という名称はいわば映画のセンターで、映画のすべてを扱う印象が強い。例えば製作助成金(実際は芸術文化基金)や国際映画祭への参加助成(実際は経産省か国際交流基金)も扱うように見える。

たぶんそのための面倒な勘違いもあっただろう。議員とか。これからは「アーカイブ」、つまり保存が中心であるよ、と宣言した。ましてや日本で唯一の「国立」だから、本における国会図書館のようなものである。これからは名実ともに国の映画保存機関である。

そのうえ、館長が前主幹の岡島尚志氏が就任したのも画期的だ。東近美の館長が文科省出身者であり、西美や新美の館長が元大学教授であるように、東京の国立文化機関の長は、いわゆる「天下り」が多い。私は、館長には著名監督か往年の女優が就くのではないかと想像していた。

フィルムセンターに30年以上勤めた岡島氏が誰かに「忖度」することなく、自分で決められたら、これは絶対いいに違いない。彼の時代に国際フィルムアーカイブ連盟に加入し(彼は後にその組織全体の会長にもなった)、新しい建物もできた。民間資金も導入し、予算も増えた。あとは組織の独立が必要だった。

だから今回の独立は、まるで自分のことのように嬉しい。本当はフィルムセンターにはいろいろ言いたいこともあるが、それは(たぶん)次回に。

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コメント

岡島さんの色が存分に出ることに、期待・応援したいと思います。タルコフスキーについての名文にみられる鋭い独創性、国際人としての歪みない広い見識と行動力、拡げ怠らぬ勉強と交際、個を失わず個に留まらない人だと思います。FCに若い世代、活力ある人たちが戻ってくる日を期待します。その為にも、認められた作品・過去の発掘とならんで、PFF(昨年もコンペbest3には唸らされた)と内部で競う位のいまや限りない非企業作をステージに導くことも

投稿: 瀬古誠治 | 2018年2月11日 (日) 11時15分

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