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2018年2月27日 (火)

またまた皇室映画を見る

関西の1週間の集中講義から帰って、またフィルムセンターに「発掘された映画たち2018」を見に行った。今回は秩父宮を撮った映画が中心で、またまた「皇室映画」。

これは「松平恒忠コレクション」と題したもので、1995年に逝去した秩父宮勢津子妃殿下の遺族にあたる松平氏がフィルムセンターに寄贈した。上映前の彼の挨拶によれば、妃殿下から遺品の処理を任されていたが、フィルムの存在は遺書にもなく困ったらしい。

残されたフィルムは92本で、皇室や宮内庁の美術品を集める三の丸尚蔵館に相談して、結局フィルムセンターに収めることになったらしい。今回上映されたのはそのうち6本で、そのほかはどんな映画だったのか気になる。

というのも、秩父宮殿下が自ら撮影したという『冬の弘前』(1935年、無声、11分)と『夏の弘前 撮影 昭和十一年八月』(36年、無声、10分)が素晴らしかったから。ほかの4本は殿下や妃殿下を撮影したものだが、この2本には彼らは写らない。

まず、『冬の弘前』は、雪に覆われた家のつららのアップから始まる。つららを折って雪かきをする人々。手前のつららと遠景のショベルを持つ人々の構図がいい。スキーをする人々を追うショットは、スキーヤーの動きに合わせてカメラが縦横に動く。

町の中の雪だるまの数々。町中に貼られた衣笠貞之助の『雪之丞変化』のポスターが写ったかと思うと、その直後に林長十郎の女形の雪だるまが出てくるなど、ユーモアもある。そして雪が半分溶けた町のちょっと白けた様子。

『夏の弘前』は、ねぶた祭を竹を組みわせてねぶたを作るところから見せる。そしてねぶたができあがり、町を練り歩く。笛や太鼓を持つ人々。最後に、川の橋から次々とねぶたを落とす。子供たちはそれを川に飛び込んで拾う。なんという躍動感。

最後には川の中に「終」と書かれた紙が浮かんでいて、微笑ましい。この映像は殿下が弘前の師団に一年間滞在した時に、本人から記録に残そうと提案して撮ったらしい。

この2本に比べるとほかは退屈だが、『秩父宮同妃両陛下 三峯山御成』(33)では山を登る両殿下のオシャレな姿が見られる。とりわけ殿下は黒のハットにグレーのジャケットに白のパンツに黒の革靴。白いドレスにサンダルを履いた妃殿下が歩きにくそうで、杖をつく。

そして戦後の『秩父宮さまの生活』(48)では、結核治療で御殿場の藁ぶきの家に住む両殿下の農耕生活が見える。妃殿下が鐘を叩くと、羊が集まってくる牧歌的風景。殿下は「新日本の建設は、若い青年の情熱にかかっている」と言う。

会場に蓮實重彦氏がいた。向うから「何でここにいるのよ」と声を掛けられたが、「それはこっちのセリフですよ」と思いながら話すと、松平氏と学習院時代からのご学友とのこと。

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