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2018年2月15日 (木)

BPMのストレートさ

3月24日公開のロバン・カンピヨ監督『BPM ビート・パー・ミニッツ』を見た。去年のカンヌでグランプリと国際批評家連盟賞を取ったということで期待して見に行った。確かに、最初から最後まで緊迫した画面にストレートに圧倒された。

映画は1990年代初めのパリを舞台に、エイズへの差別に対して戦う若者たちを描く。彼らは「ACT UP」のメンバーで、テレビ局に乱入したり、製薬会社に突然押しかけてデモ行動をしたりする。

冒頭のテレビの生番組に入り込む場面から迫力満点だ。テレビカメラの脇からじっと伺い、エイズを防ぐ団体の代表に、突然赤いペンキを投げつける。あるいは製薬会社のオフィスにも同じペンキをばらまく。一斉に笛を吹きながら。見ていると、実際の行動をドキュメンタリーとして撮っているかのような錯覚に陥る。

彼らは週に一度、教室のような場所に集まって会議をする。行動方針を決めたり、次のデモの内容を決める。そこでは必ずしも意見が一致せず、激しい言い争いになることも。それでも彼らは冷静に判断して、最後は多数決で決めてゆく。

賛成の時には拍手ではなく、中指と親指を鳴らす。この小さな同意の音が、中身の濃さと行動のクールさを見せる。抗議行動でも、彼らは決して敵を傷つけることはない。器物破損がせいぜいだ。

そんななかでショーンとナタンのゲイ同士の愛が生まれるが、ショーンは死に近づいてゆく。友人たちも何とか応援するが、打つ手がない。

すべてを仲間たちからだけ見た世界として描く。だからちょっとプロパガンダのドキュメンタリーのようでもある。ひたすら真面目で重い。最後まで緊張感が続き、見ていて本当に息が詰まりそう。

こういう映画もあっていいと思った。かつて見たフランス映画『野生の夜に』(92)を思い出したが、こちらは同時代に作られたものだった。なぜ今こういう映画を作るのか、たぶん監督には大きな必然があるのだと思う。あの時代から性的マイノリティに対する見方は本当に変わったのだろうか。

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