古代アンデス文明展の衝撃
「南方熊楠展」を見に上野の国立科学博物館に出かけたら、それは常設展の一部で企画展は「古代アンデス文明展」だったので、そちらも見ることにした。企画展は高いがそのお金で常設展も見られるから。
私の記憶では、「アンデス展」は「エジプト展」に次いでこれまでに何度もやっていた。またアンデスかとも思ったが、考えてみたらエジプトに比べてもアンデスについて全く知らない。「インカ」とか「ナスカ」とか「シカン」と言う名前がいくつか浮かぶが、その関係も知らなかった。
まず、それらが実は時代ごとにペルーの各地で栄えた文明の名前だということが、入ってすぐの年表でわかった。「インカ」は16世紀のスペイン侵略までの最後の帝国の名前。「シカン」は9世紀から14世紀までのペルー北部を中心にした文明で、日本人の学者が発見したようだ。
「ナスカ」は空から見た地上絵で知られているが、紀元前2世紀から7世紀くらいまで。展示されている地上絵のビデオには息を飲むが、色彩豊かで抽象的な模様の土器も実に鮮烈だ。
そういえば冒頭に、トマトやジャガイモやトウガラシがアンデス原産だと解説してあった。これはほとんどヨーロッパの料理の基礎ではないか。私も好きなので自分で料理を作る時はどれかは使う。この地域に人類が到達したのは紀元前1万3千年頃というが、アフリカから流れて来たのだろうか。
人類最初の定住文明が作られたのは、紀元前3千年前のカラル文明。ここには祭祀センターの跡がある。それから土器、武器、仮面、ミイラ、装飾品などがだんだん出てくる。
インカ文明は黄金を使った装飾や仮面が特徴だが、スペインの侵略で多くは奪われて溶かして鋳造されたという。何という野蛮。この展覧会はスペインの侵略で実にストンと終わってしまう。そんなにスペインは強かったのか。
30年ほど前、最初の職場での初出張はサンパウロ・ビエンナーレだった。その後、アルゼンチン、ペルー、ヴェネズエラを回った。ペルーでは日本大使館の人にリマに近いモチェ遺跡に連れて行ってもらったはず。その風景やリマ市内の古い建物を忽然と思い出した。
展覧会で中南米の原住民の顔を見て、アラスカのイヌイットや沖縄やアイヌの人々に顔が似ているとつくづく思った。中国系とは異なる太平洋文明があったのだろうか。こんなことも知らないとは。この展覧会は2月18日までだが、一見の価値あり。
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