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2018年3月10日 (土)

ポスター展2つ

ポスターが中心の展覧会を2つ見た。1つは練馬区立美術館で4月15日までの「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」展で、もう1つはフィルムセンターで3月25日まで開催の「SF・怪獣映画の世界」展。

サヴィニャック展は、これまであちこちで見たことのあるサヴィニャックというデザイナーの作品の全貌を見せるもので、200点あまりがフランス各地から集められて展示されている。多くの場合、原画と実際のポスター(ほとんどリトグラフ)が組み合わせて展示されている。

彼は1907年の生まれで2002年に亡くなったから、まさに20世紀のフランスを見せるポスター・デザイナーだ。それも活躍の中心は50年代から60年代後半までがほとんどで、オシャレでちょっとのどかな感じの絵が多い。つまり1968年の5月革命以前の、社会の矛盾が表に出ていない頃のおおらかな資本主義といったらいいのか。

もちろん既にテレビCMはあったろうが、街頭や地下鉄に大きく張り出されるポスターが広告の王様だった感じがよく出ている。「牛乳石鹸モンサヴォン」「マギー・チキンブイヨン」「チンザノ」「オランジーナ」「ダノン」「ルノー」「シトロイエン」「ジターヌ」と商品をユーモラスに描き、人や動物と組み合わせる。

資本主義がまだ人間サイズで、「買う」ことが喜びであった時代がよくわかる。驚いたのはカッサンドルの弟子だったこと。こちらはさらに優美だが。サヴィニャックの父は「ボンマルシェ」百貨店の配送係で母が販売員だったというから、パリの物売りの血を引き継いでいる。

両親はその後グラシエール通りで大衆食堂をやっていたというのも、2年前に13区に住んだ私には懐かしかった。まさに庶民的なパリジャンとして育ったサヴィニャックの性格が、ポスターから感じられる。カタログを買わなかったが、買うべきだったかと後悔。

「SF・怪獣映画の世界」は私のくわしい分野ではない。だけど、このジャンルにどの映画が入るのかを考えながら見るのは楽しかった。最初は『メトロポリス』(1927)で次に『フランケンシュタイン』(31)と『キング・コング』(33)があった。もちろん元祖SFはメリエスの『月世界旅行』(02)だが、これはポスターなどの見せるものがないのだろう。

次に『海底二万哩』(54)など1950年代のアメリカのB級としてのSFが来る。そして『博士の異常な愛情』(64)からの「キューブリックの登場」。「ヨーロッパ産SF」として8本が並んでいるが、ゴダールの『アルファビル』(65)やトリュフォーの『華氏451』(66)もここに入る。タルコフスキーが2本あるが、ヨーロッパではSFはマイナーだと改めて思う。

「『スターウォーズ』の時代」から「SF映画の世界征服」として、70年代後半からのアメリカSF映画の数々。後半は国産SFで、全体の1/3を超す量が並ぶ。『ゴジラ』(54)に始まる本多猪四郎の世界がたっぷり並び、最後は岩井俊二の『スワロウテイル』(96)。

SFに詳しい人は、あれがない、これがないと言うだろうが、私にはずいぶんおもしろかった。家に帰っても入口でもらった作品リストを眺めている。

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