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2018年3月28日 (水)

『ザ・スクエア』の居心地の悪さ

4月28日公開のリューベン・オストルンド監督『ザ・スクエア 思いやりの聖域』を見た。去年のカンヌでパルムドールを取った作品だが、このスウェーデンの監督は『フレンチアルプスで起きたこと』や『プレイ』(東京国際映画祭で上映)などで、いつも見る者をいら立たせてきた。

あえて物語はいいかげんで、不快な出来事が続く。カメラは固定されたままのことが多い。時おり画面外から異様な音が響く。だから見ていていらいらするが、見終わると妙に見ごたえを感じる。

新作の『ザ・スクエア』はその居心地の悪さをさらに押し進めて、哲学にしてしまった感がある。今回は現代美術館のチーフ・キュレーターのクリスティアンに身に次々と不快なことが起こる話。

まず、美術館に泊まり込んだ翌朝、インタビューだと秘書に起こされる。不毛なインタビューの後に、街頭で騒ぎに巻き込まれ、いつの間にか財布とスマホを盗まれる。

スマホの位置情報で盗んだ相手を探し、助手と共にそのアパートのすべてに脅迫状を入れる。財布とスマホは帰ってきたが、親から泥棒扱いされたとしつこく騒ぐ少年が現れる。

インタビューをした女性とパーティで再会し、彼女のアパートに行ってしまう。女性は美術館に押しかけて大きな声で情事について話す。その間、何かが壊れる音がする。

新作展示「ザ・スクエア」の宣伝のために、広報は広告会社と話しあって、とんでもない映像を作り、クリスティアンは記者会見で謝罪をするはめに。

美術館のトークショーでは神経症の患者が現れて邪魔をする。美術館への寄付者向けの晩餐会に呼んだ芸人は、大騒ぎをしてパーティをぶち壊しにする。

ほかにもたくさんの不快な細部があって書ききれないくらい。今回それが強烈なのは、美術館という文化的な組織で起こるから。まるですべては偽善だと言わんばかりに、芸術や人間の醜さを暴いてゆく。

この映画は、カフカ的な不条理に達している。あえて不快さを高める音響や強烈な音楽も相まって、見る者を不安に陥れる。それが151分も続くのに、見終わると奇妙な満足感が生まれる。

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