『リズと青い鳥』が私にわかるか
私の大学で女子が作る映画に、女子高を舞台にしたものがよくある。大好きな親友と進路を悩むとか、先輩を慕うとか、だいたい同性愛的な要素が入っている。私はそれが苦手で、卒業制作でもそういう作品を見ると、「4年もたって女子高を懐かしがってどうする」と言ってしまう。
山田尚子監督の新作アニメ『リズと青い鳥』は、どうもそういう内容らしい。この監督は『聲の形』などで話題の若手なので、勇気を奮って劇場に見に行った。客層は若い女性が多いが、意外にカップルやおやじもいた。
結論から言うと、最初は戸惑ったが、だんだんよくなってきてかなり楽しんだ。最初は高校生の「みぞれ」が校門で「のぞみ」を待っているシーン。ロングヘアで憂鬱そうなみぞれと、ポニーテールで快活なのぞみが対照的に描かれている。
物語は、音楽部でそれぞれオーボエとフルートを弾いている彼女たちが、高校最後のコンクールに向けて練習をするというだけ。みぞれは明るいのぞみが好きだが、のぞみは下級生にも慕われる人気者。2人とも受験する大学を決めていない。
表向きは本当に何も起こらない。コンクールの場面も卒業式もない。それでも先生のアドバイスを受けて、みぞれが本気を出して演奏する終盤のシーンには感動してしまう。
教室の様子が細やかに描かれる。特に2人がよく合う理科室の雰囲気がいい。試験管や水槽などが光る。ドアの開閉で周囲の音が微妙に変化する。背景はぼかした感じで描かれる。
この現実に挿入されるのが、コンクールの自由曲「リズと青い鳥」の原作童話で、この世界がみぞれの想像の形で全く異なるタッチで再現される。みぞれは自分をリズになぞらえ、青い鳥を手放したくないと思う。
この映画のポイントは、実は青い鳥はみぞれ本人だったというものだが、その大逆転は終りの方の演奏と共に訪れる。それまでは、みぞれの過去も含めた暗い日々を淡々と追うだけ。
私にこの世界がわかるかと言えば、やはりわからない。でもこれだけの繊細さを持って描かれたら、さすがにおじさんも心は動かされる。
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