『万引き家族』は受賞するのでは
去年、是枝裕和監督は『三度目の殺人』で何本か続いたホームドラマとは違う裁判劇に挑んだ。男たちが中心の社会性のある見ごたえのある映画だったが、是枝映画に特有の情感の発露が弱かった気もする。
さて、開催中のカンヌ映画祭のコンペに出ている6月8日公開の『万引き家族』は、またさらに新しい方向をめざした作品だ。「万引き家族」6人の情感たっぷりのホームドラマでありながら、『誰も知らない』(04)のような強烈な社会派のリアリズムを持つ。
『誰も知らない』を思い出させるのは、家族の少年・翔太とそこに拾われてくる幼い娘の顔つきや動きだ。本当に自分たちだけで真剣に考えて行動しているかのよう。
彼らが住む家は最近の是枝作品とは違って狭いあばら家で、そこに父の治と母の信代、信代の妹、祖母が折り重なるように住む。父は工事現場で働いているが事故にあって足を痛め、母はクリーニング店に勤めているがリストラでクビになる。
唯一のまともな収入は祖母の年金だが、そもそも家自体が彼女のもののよう。そして父は翔太と組んで万引きを繰り返す。信代の妹は風俗店でマジックミラー越しに客と接する。
それでも彼らはカップラーメンの上に買ってきたコロッケを載せて幸せそうに食べる。ビルの谷間の一軒家からは花火も見えないが、音だけで喜ぶ。雨の日に珍しく治と信代が性交をした時に子供たちが帰ってきて慌てる様子や、6人で海に行った時の子供たちの楽しそうなことといったら。
リリー・フランキーと安藤サクラの夫婦が、狭い家のなかでねっとりした家族愛を見せる。特に子煩悩なリリーの役は『そして父になる』(13)を思わせる。祖母の樹木希林は今回は貧しくずる賢い役がぴったり。安藤の妹役の松岡茉優もなかなかの存在感。
後半、この貧乏だが幸せそうな万引き家族に変容が起きる。そして思わぬ真実がどんどん露呈して行く。社会から見放されたような家族の姿から、現代の大きな問題が浮かび上がる。
子供の演出のうまさと社会性があり、これまでにカンヌで賞を取った『誰も知らない』や『そして父になる』を思い出させる部分もあるので、今回は賞を取るのではないか。
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コメント
本当にパルムドール取りましたね! 素晴らしい予想でした!
投稿: onscreen | 2018年5月20日 (日) 05時27分