« 18年目のイタリア映画祭:その(2) | トップページ | 『犬ヶ島』の抜群の楽しさ »

2018年5月 6日 (日)

「名作誕生―つながる日本美術」展の楽しさ

東京国立博物館で5月27日まで開催の「名作誕生―つながる日本美術」展を見に行った。GW中で混んでいるかと思ったが、思いのほかすいている。雪舟や等伯や若冲の有名作品が出ているのにも関わらず、どうしてだろうか。

元イベント屋の私には、その理由は想像できる。まず展覧会名の「名作誕生―つながる日本美術」では何のことかわからない。横に「創刊記念『国華』130周年・朝日新聞140周年」と書かれているのも、かえって怪しい。

朝日新聞の140周年と言われてもピンと来ないし、美術雑誌『国華』は美術関係者には絶大なる信頼を得ているが、普通の書店では売っていない専門誌。つまりは、展覧会名に既に「来なくていい」オーラが出ている。

実際に見てみると、なかなか面白い。時代を超えて美術がつながっていることを見せるのが主眼のようで、美術史を行ったり来たりする。だから普通の美術展のようにある画家や時代や運動を取り上げないので、バラバラな印象も残る。

最初は薬師如来や普賢菩薩の彫刻が時代を超えていくつも出てきて驚いた。さらに聖徳太子像は平安から江戸まで。これらは宣伝されていない。次に雪舟や若冲がいかに中国美術の影響を受けているかの比較になると、がぜん面白くなる。雪舟と中国絵画を一緒に見ると、いかに真似しながら日本の風景にしたかがよくわかる。

もっと明らかなのが、若冲の《白鶴図》。鶴の構図は14世紀や16世紀の中国絵画とほぼ同じ。あるいは少し前の狩野探幽《波濤飛鶴図》の構図もそれをなぞっている。若冲や探幽は中国絵画に比べて何となくまろやかで、波の描き方など装飾的なのが日本らしさか。

硯箱などの工芸は、いかに尾形光琳であってもわかりにくい。それを屏風と比べるのは私には無理がある。そのほか印象に残ったのは、等伯の『松林図屏風』。これは東博の所蔵品なので正月などに見たことは何度かあるが、遠くから見ると霧の中に松林がうっすら見える感じだが、近くでみるとかなり大ざっぱな筆致だ。

最後には岸田劉生の麗子像を中国の14世紀の《寒山拾得図》を比べていて、確かにそっくりなので笑ってしまった。今日までが前期で、8日からかなりが入れ替わって後期展示となる。雪舟の《天橋立図》も出るのでまた行きたい。

|

« 18年目のイタリア映画祭:その(2) | トップページ | 『犬ヶ島』の抜群の楽しさ »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/66685289

この記事へのトラックバック一覧です: 「名作誕生―つながる日本美術」展の楽しさ:

« 18年目のイタリア映画祭:その(2) | トップページ | 『犬ヶ島』の抜群の楽しさ »