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2018年5月 1日 (火)

六本木から青山へ

授業の後に試写に行くことが多いが、初夏のいい天気だったので、青山での試写の前に六本木の国立新美術館に行ってみた。この美術館は、この季節は庭が気持ち良い。野外のカフェに座ると天国だ。

新美で見たのは、「こいのぼりなう!」展。新聞で展示写真を見て行きたくなった。これは須藤玲子というテキスタイルデザイナーが、アドリアン・ガルデールというフランスの展示デザイナーと齋藤精一というメディアアートディレクターが組んだインスタレーション。

普通の美術館の展示室に比べたら2倍くらいの2000㎡を、壁なしで目一杯使う。天井も8メートルと高い。そこに様々な模様と材質の無数の鯉のぼりがぶら下がっている。その下にはふかふかのソファがいっぱい置かれている。会場は薄暗いが、微妙に光が変化する。そして海や森を思わせる音があちこちから響く。

ソファに寝転がって鯉のぼりを見ていると、何だか少年の昔に帰るような気持ちになる。田舎の空にはためいていた鯉のぼりを思い出す。5月にぴったりの展示。いわゆる現代美術ではないが、そんなことは関係ない。

同時に開催していた「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」は、また海外から一括借用の〇〇美術館展。確かにセザンヌ6点、ゴッホ6点は悪くない。終りにはかなり大きなモネの睡蓮もあった。それでも「こいのぼりなう!」を見た後では馬鹿らしくなる。

展覧会の始めに17世紀のオランダ絵画があったり、アングルの19世紀前半の絵があるのもわからない。18世紀イタリアのカナレットの絵画もある。あるいは19世紀半ばのドラクロワやクールベさえ異質に見える。印象派だけでは点数が足りなかったのでほかも持ってきました、そんな感じがした。

新美の野外カフェと「こいのぼりなう!」に次いでよかったのが、青山墓地の散策。青山通り沿いの試写室まで15分くらいをゆっくり歩いたが、たぶん初めて青山墓地の中を通った。「伯爵〇〇の墓」とか偉そうに書いてあって、笑ってしまう。手入れがされている墓も、草ぼうぼうの墓もある。

たまたま外人墓地の前を通って驚いた。アメリカやドイツやフランスから19世紀後半にやってきて、1920年代や30年代に亡くなった外国人の墓が集められている。たぶん明治政府の「お雇い外国人」だったのだろうが、英語やドイツ語や仏語が墓石に書かれている。日本人の妻が同じ場所に葬られていることもあった。

さて、自分の墓はどうしようか。故郷に埋めてもらうか、東京で散骨するか。墓地を歩いたら、「墓」というものがいよいよわからなくなった。

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