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2018年7月17日 (火)

日本統治下の韓国映画:その(4)『家なき天使』

日本統治下の韓国映画は、『軍用列車』(38)からプロパガンダ色が出てきたことは、前に書いた。これは題名そのものの「軍用列車」という存在が、日本軍のための輸送列車だった。しかしその後の映画にはプロパガンダ色があまりないものも多い。

1940年の『授業料』(崔寅奎(チェ・インギュ)、方漢駿(パン・ハンジュン)共同監督)では、学校の先生が日本人で日本語で授業をしている点だけが、あえて言えばプロパガンダと言える。崔寅奎監督の翌年の『家なき天使』に至っては、日本人は全く出てこない。

スタッフも原作・脚色に「西亀元貞」の名前があるだけで、撮影の「金井成一」は戦後「金学成」として活躍する韓国人。音楽は伊藤宣二と金駿泳が併記され、演奏は東京管弦楽団。キャストも全員韓国人で、日本語はあまり出てこない。

物語は、孤児の明子(金信哉=キム・シンジェ)と龍吉姉弟が、親方にいじめられて家出し離れ離れになるところから始まる。社会事業家の方聖貧(金一海=キム・イルヘ)は、義兄の医師・安仁圭(秦薫=シン・フン)に頼んで孤児院「香隣園」を作ることになる。龍吉は運よくその孤児院に入る。

明子は安仁圭に出会って看護師として働きだす。香隣園に暮らすうちに龍吉は、逃げた友人を追いかけて川に落ち、病気になる。そこに呼んだ安医師に伴って現れた明子と再会する。最後に、少年たちが日章旗の前で日本への忠誠を誓うシーンがとってつけたようだが、唯一のプロパガンダだろう。

これは実話のようで、冒頭に「この一編を浮浪児教化の実践者・方洙源氏と香隣園の少年たちに贈る」と出てくる。しかしながら内容は清水宏の『みかえりの塔』(1941)に限りなく近い。『みかえりの塔』は41年の1月に公開されており、これを関係者が日本や韓国で見た可能性は大いにある。これまた調べしないと。

清水宏との関係で言えば、清水の『ともだち』(40)で韓国人少年を演じた李聖春(本名は宋桓昌)が白川栄作という日本名で小さな役で出ている。これは『授業料』についてここに書いた時に、古賀重樹氏がコメントをした通り。彼の役は盗んだ宝石の指輪を飲んでしまう悪童だが、実際は飲んでいなかったことがわかる。

この映画で明子を演じる金信哉は、監督の崔寅奎の妻。また方の妻役はこの時期一番のスター女優、文藝峯(ムン・イェボン)で、お金のことを考えずに社会事業に邁進する夫を心配する妻を巧みに演じている。

というわけで、監督や俳優の名前を憶えているうちに(できるだけ韓国式の読み方で)、この時期の韓国映画に少しくわしくなった。

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