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2018年7月 1日 (日)

ホン・サンスにハマる(3)

ここにも書いたように2016年のカンヌに約30年ぶりに行ったが、その場所で撮られていたのが7月14日公開の『クレアのカメラ』。『夜の浜辺でひとり』の1つ前の作品だが、わずか数日で撮影されたという。

主演のキム・ミニは『お嬢さん』がコンペ外上映、脇役のイザベル・ユペールは『エル』がコンペでカンヌに来ていた。2人の合間の時間をぬって撮影したという。

確かにほかの作品に比べると69分と短いし、ドラマも小ぶりなのでスケッチのようではある。それでもさすがにホン・サンスで、何気ない話の連続の中から人生の深淵がのぞく。

キム・ミニ演じるマニは映画祭のためにカンヌに来ているが、勤務する映画会社の女性社長ナムから突然解雇を言い渡される。帰国するにもチケットの変更ができず、海岸通りをふらふらしているうちに、フランス人女性のクレア(イザベル・ユペール)と出会う。

彼女は音楽の高校教師で、詩を書いたり写真を撮るのが趣味。彼女に撮った写真を見せると、そこにはナム社長とソ監督の姿があった。その前にクレアはカフェで偶然にソ監督と会い、意気投合してソ監督の映画のセールスを担当するナム社長と共に食事をしていたのだった。

2人、あるいは3人での会話。それをいつもの固定カメラとズームという単純な手法で撮る。そこからソ監督とナム社長の長い関係やソ監督がマニと遊んでしまったこと事実などが、どんどん出てくる。とりわけ別れを切り出したソ監督とナム社長の会話の展開は抜群。

黄色のカーディガンやコートと青いカメラやポーチを持ったユペール演じるクレアは、極めて普通のフランス人のようだが、どこか吹っ切れている感じ。クレアは最初にソ監督に会うと、自分が写真を撮ると相手は別人になる、と不思議なことを言った。それは本当なのかわからないが、映画の終りに何かが変わったことがわかる。

また、わかったようなわからないような話のなかで、男の身勝手と女の痛みを感じてしまうホン・サンスのマジックにかかってしまった。今回のホン・サンス4本で『正しい日|間違えた日』のみ、まだ見ていない(たぶん)。こちらはキム・ミニ初登場作品なので、ぜひ見たい。実際は、それぞれが似すぎてどれがどれかわからなくなったが。

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コメント

ホン・サンス監督の中でそれからというものは拝見したことがあります!
向こうの映画らしい映画でしたが、どこか深みのある映画になっていて素晴らしかったです!

投稿: 小暮海美 | 2018年7月 1日 (日) 14時59分

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