映画『在日』からわかること
ドキュメンタリー映画『戦後在日五十年史 [在日]』(1997)の「歴史篇」をDVDで見た。これだけで2時間15分だが、もう1つ2時間強の「人物篇」がある。ともに監督は呉徳洙で、「歴史篇」を見るだけでも「在日」の苦難の歩みに圧倒される。
日本の敗戦は在日にとって祖国解放だったが、まず朝鮮へ帰るのは容易ではなかった。60万人が残ったといわれる。彼らは「朝連」(後の総連)と「建青」や「建同」(この2つが後の民団)を組織し、各地に朝鮮学校を作る。
朝鮮半島では済州島の4.3事件を経て、アメリカの後押しで大韓民国ができ、北朝鮮と対立し、50年から3年半にわたる朝鮮戦争が始まる。120万人の死者のなかには、日本から参加した在日もいた。59年から北朝鮮への帰国事業が始まり、9万3千人が送られた。
韓国は朴正煕が大統領になり、日韓条約を結び、在日に永住資格が与えられる。それから日本では、金嬉老事件や日立裁判、弁護士の裁判、指紋捺印拒否などの個人による反対運動が中心になる。韓国では、全斗煥、盧泰愚による軍事政権が続く。
それらの在日及び朝鮮半島の歴史は、当然ながら日本及びアメリカの歴史と深いかかわりを持つ。朝鮮戦争は日本に経済成長をもたらしたし、1952年の日本の講和条約発効と同時に外国人登録法が始まった。
1965年の日韓条約は、アメリカの後押しを得た朴正煕が結んだものであることも重要だ。「日韓問題は解決済み」と言ってもそれは親日、親米の軍事政権が結んだもので、1990年からの金泳三、金大中、盧武鉉から2人飛んで今の文在寅に至る文民政権にとっては容認できないことになる。
日本は35年にわたって朝鮮半島を支配し、日本語を強要し、多くの朝鮮人を日本に連れてきた。そして戦後に残った在日の人々に日本政府はアメリカと組んで多くの差別を強いてきた。そして、韓国の軍事政権と手を組んだ。
この映画からわかるのは、マクロ的にはそうした日本とアメリカと韓国・朝鮮との関係であり、ミクロ的にはそのはざまで苦しんだ在日の人々が少しずつ当然の権利を勝ち取ってきた歩みである。
この映画は1995年の時点で作られたので、従軍慰安婦問題も拉致問題もない。しかしながら、慰安婦問題の解決が容易でないのはよく理解できる。朴正煕の娘の朴槿恵による慰安婦問題日韓合意が、今の政権下でそのまま認めがたいことも。
韓国は親日は軍事政権か保守派で、左派は反日で南北統合をめざす。この図式は覚えておいた方がいい。1990年までは長年軍政が敷かれていたことや、そのおかげで日本は東西冷戦下で経済成長に専念できたことも。私はそんなことが、恥ずかしいことに最近になってわかってきた。
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