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2018年8月 7日 (火)

『ウインド・リバー』の雪の冷たさ

猛暑に一番効く映画を見つけた。上映中のテイラー・シェリダン監督のアメリカ映画『ウインド・リバー』では、冒頭から最後まで雪の冷たさを強烈に味わうことができる。

最初に出てくるのは、雪の中で凍死している娘の死体。どこまでも続く血の跡があって、相当長い距離を走った後だとわかる。舞台は米中西部の先住民保留地ウインド・リバーで、その死体を見つけたのはハンターのコリー(ジェレミー・レナ―)だが、FBIから派遣された若い捜査員ジェーン(エリザベス・オルセン)は部族警察とコリーの協力を得て捜査に当たる。

検視の結果、娘はマイナス30度の夜にレイプされた後に雪の中を逃げる途中で息絶えたことがわかる。殺人ではないためFBIの援軍のないまま、ジェーンは犯人究明に突き進むが、見えてくるのは仕事も金もない保留地の若者たちの悲惨な姿ばかりだった。

もう1つ雪の中で死体が見つかったあたりから、事件は意外な方向に展開する。ジェーンが犯人らしき男の住むトレーラーを訪ねると、フラッシュバックで犯罪の場面が挟み込まれるあたりの展開が抜群にうまい。さらにそこからの雪の中の銃撃戦も、見ていて震えるくらい怖い。

根底には、保留地として辺境の地に追いやられた先住民たちへの強い思いがある。映画の終りに「数ある失踪者の統計にネイティブ・アメリカンの女性のデータは存在しない」というテロップが出てくる。つまり先住民は、あらゆる記録や歴史から排除されていることがわかる。

この映画はさすがに新聞各紙で絶賛している。確かにドラマの展開がうまいし社会性もあるし、演出も静と動の組みわせが巧みで、ジェレミー・レナ―の圧倒的な存在感が印象に残る。しかし個人的には、「うまさ」が目立って映像そのものにそれほどの魅力があるとは思えなかった。

そういえば1週間遅れで「朝日」は真魚八重子氏が映画評を書いているが、冒頭のフィルム・ノワールの説明からちょっと違うし、そもそもこの映画とあまり関係がない。倫理的な疑問を呈した終わり方もどうだろうか。丁寧に作品の魅力を紹介した他紙と比べるとアラが目立つ。

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