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2018年8月 9日 (木)

『泣き虫しょったんの奇跡』に泣く

9月7日公開の豊田利晃監督『泣き虫しょったんの奇跡』に泣いてしまった。もともと囲碁・将棋は皆目わからないが、新聞社にいたので馴染みがある。新聞社の事業部は囲碁や将棋の大会を主催するし、文化部には専門の記者がいる。

だからこの世界を目指す若者が大勢いて多くのファンもいることも、同僚たちを見ながら肌で感じてはいた。それにしても、この映画を見て将棋にこれほどの情熱を傾ける人々の姿にあらためて驚いた。

題名の「しょったん」=瀬川晶司は小学生の時から将棋が好きになり、中学生になると同級生の鈴木と町の将棋道場に通うようになる。中学を出ると「奨励会」に入り、プロを目指すがなかなかプロになれない。26歳で年齢制限で引退して大学に通い会社員になるが、アマとして再び将棋を始める。

映画はまずプロを目指す幸せな少年時代を見せる。理解のある父(國村隼)と母(美保純)、小学校の先生(松たか子)、将棋道場の経営者(イッセー尾形)などみんな優しい。

奨励会では妻夫木聡、染谷将太、永山絢斗、渋川清彦、駒木根隆介、新井浩文といった主役級の俳優が脇役で同僚を演じ、多くはさまざまな理由で去ってゆく。しょったんを見守るのは、友人役の野田洋次郎、兄役の大西信満や喫茶店の娘(上白石萌音)、会社の同僚の板尾創路や石橋静河など。

名優や個性派俳優たちがこれでもかと出てくる。駅でしょったんに「応援してますよ」と声をかけるだけの役で藤原竜也まで出てくる。

基本的には悪人はいない。その中でしょったん役の松田龍平は情熱を表に出さず、淡々としながらも懸命に生きてゆく。カメラは流れるように動きながらさまざまな対局を写す。

瀬川晶司はプロになるという結論は最初からわかっている。それを多くの俳優が盛り上げて、終盤の勝利に向かう。作り物だとわかっていても、それでも実際に勝つと、泣いてしまう。ひょっとすると評論家には少し評判が悪いかもしれないが、観客には相当ウケるのではないか。

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