« 最近の読書から:『消滅世界』と『地図のない旅』 | トップページ | ベネチアやパリで見た建築展 »

2018年9月26日 (水)

タイ映画『バッド・ジーニアス』を見る

予告編を見て猛烈に見たくなったのが、タイのナタウッド・プーンピリヤ監督『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』。さらに日経新聞で宇田川幸洋さんが4つ星で絶賛しているのを見つけて、映画館に駆けつけた(昔のハスミさんみたい!)。何と、劇場は若者で満員に近い。

正直に言うと、期待をし過ぎた。それでも2時間10分、時間を忘れて楽しんだのは事実。バンコックの有名進学高校を舞台にしたカンニングの話で、天才少女リンが大活躍する。

進学校に特待生で転校してきたリンは、仲良くなったグレースに試験の時に消しゴムに答えを書いて渡す。それがきっかけで、今度はグレースの金持ちの恋人やその友人数名に対して指を動かしてマークシートの答えを教える方法を編み出す。

もう1人の特待生バンクにそれを見破られてリンはシンガポール留学のチャンスを失うが、今度はバンクも巻き込んで米国大学統一入学試験で壮大なカンニング計画を試みる。

いくつものカンニング方法を編み出し、苦悩しながら実践する中国系のリンがすばらしい。カンニングの細工は甘さを感じるし、後半の統一試験は少しチャチにも見えるが、何より彼女の表情に引き込まれる。リンを演じるのは、チュティモン・ジャンジャルーンスックジャン(長い!)。

カンニングから見えるのは、どこにもある格差社会や学歴偏重や金儲け主義。グレースの恋人のパットの家は大金持ちで、親は自宅でフランス料理を食べて高級ワインを飲む。自分が出たボストン大学に息子も送りたいと、恋人のグレースに頼み込む。グレースはリンだけが頼り。リンの父親は教師でお金はなく、リンは何とか助けたい。パットが殴られて捨てられるのは、どこにもある巨大なゴミの山。

もちろん全編タイ語で、試験問題もアルファベットではない模様のようなタイの文字。しかし言葉以外は、ユーモアも社会問題も映画演出術も世界で共通のものになったと改めて実感した。

公開2日目の日曜とはいえ、劇場は若い人でいっぱい。もちろんテレビスポットもネット広告もないので、いったいどこでこの映画の噂が広がっているのか気になる。

|

« 最近の読書から:『消滅世界』と『地図のない旅』 | トップページ | ベネチアやパリで見た建築展 »

コメント

ライムスター宇多丸の「アフター6ジャンクション」というラジオ番組でSKE48というアイドルグループに所属している加藤るみという人がゲストに呼ばれて「バットジーニアス」を絶賛して紹介していたので若い人が多いのはその影響じゃないでしょうか?

投稿: NBK2 | 2018年10月 5日 (金) 00時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: タイ映画『バッド・ジーニアス』を見る:

« 最近の読書から:『消滅世界』と『地図のない旅』 | トップページ | ベネチアやパリで見た建築展 »