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2018年9月27日 (木)

ベネチアやパリで見た建築展

ベネチアでは、例によってベネチア・ビエンナーレの建築展に行った。ベネチア・ビエンナーレは1895年に現代美術展として生まれたものだが、1932年に映画祭がベネチア・ビエンナーレの1部門として加わった。ビエンナーレが2年に1度を意味する通り、美術展は隔年開催だった。

美術展のない年に建築展が始まったのは、1980年頃。そして1991年から日本が参加したのは、私が国際交流基金に勤務していた時だったから、よく覚えている。美術展では日本人はめったに賞を取らないが、建築展はよく賞を取る。96年に磯崎新さんがコミッショーナーで、関西大震災をテーマにした展示で金獅子賞を取ったのは記憶にある。

今年の日本館はアトリエ・ワンの貝島桃代氏がキュレーターだったから期待していたが、正直、がっかりした。42組の建築家のデッサンや写真があちこちに並んでいるだけで、一切の説明がないから、誰の何なのかもわからない。日本語もあるが多くは英語で、日本以外の建築家も多い。「建築の民族誌」というテーマだが、そのコンセプトも私には伝わらなかった。

たぶん建築の専門家ならば、デッサンを見ながら楽しめるのだろうが、普通の観客には無理。日本の雑誌のインタビューを切り抜いて張っただけの展示もあったが、私には手抜きに見えた。

抜群におもしろかったのは英国館。中に何もない。ところが横にやぐらが組んであって、屋上に登ることができる。そこにはカフェがあり、美しいアドリア海が広がる。案内係の人から英国がEUから離脱したことをテーマしていると聞いたが、展覧会自体をバカにしているようでおかしい。これで英国館は特別賞。

国別の金獅子賞はスイス館。館のあちこちに小さな戸や部屋を作り、探検のように入り込む。その小ささや器用さは日本館かと思ったくらい。なんで金獅子かはわからないが、妙におかしい。

韓国館は韓国における建築の近代をたどったもので、1970年大阪万博の韓国館の資料が展示されていた。フランス館は古い建物を現代に生かすプロジェクトがテーマで、壁には日常品が張り付けてあった。アルセナーレ会場も見たが、全体に低調な気がした。

建築と言えば、パリのカルティエ財団で石上純也氏の大きな個展を終わる前日に見た。石上氏はベネチアの日本代表として日本館で展示したこともあるし(この展示は素晴らしかった)、その2年後には妹尾和代が総合コミッショーナーの時に個人参加で金獅子賞を取っている。

今回の個展は、これまでに建てた(及び建築中の)18の建物のデッサンや写真や模型を見せる。私は彼の建築の実物を見たことがないが、本当に大丈夫なのかと思うほど、奇想天外で冒険がいっぱい。まわりの自然や環境との融和を図っているのは感じられたが。上海の建築が多かったが、日本の建築家はどれだけ上海で活躍しているのだろうか。

カルティエ財団の建物は、ジャン・ヌーヴェルの建築によるもので、周囲の緑とガラスの建物の調和がすばらしい。石上氏の個展は、そのなかにしっくりと来るような感じなのもよかった。

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