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2018年10月 4日 (木)

山形で考える:続き

釜山のキム・ヒョンスさんの発表は、釜山市の映画・映像政策については少し触れる程度で、彼が代表を務める「コーナーシアター」について主に語った。興味深いのは、これが観客を中心に考えた上映活動であることだろう。

まず、上映後に床に座って(つまり車座になって)、みんなで話し合うことが条件だという。椅子に座っていてはダメらしい。そして観客を無名の存在ではなく、実名とするために、「観客雑誌」も作った。「すべての観客は独自の視点を持つことができる」

自分の意見を熱く主張する観客はいかにも韓国的だし、たぶんクールな日本では難しいだろうが、趣旨は理解できる。映画を見て各自が自分の頭で考えることは、一番大事だから。

その後の「映画上映の現在と未来―映画配信時代の上映」は、最初のコミュニティ・シネマ事務局のプレゼンテーションが、その後のディスカッションよりもおもしろかった。

まず、現代の日本人がほかの先進国に比べていかに映画館に行かないかがわかった。2017年に日本人は1年に1人あたり1.4本の映画を見ているが、英国は2.6本、フランスは3.2本、アメリカ・カナダは3.8本、韓国に至っては4.3本も見ている。もし日本人が韓国人くらい映画館に行ったら、日本の映画界は潤って仕方がないだろう。

昨年の公開本数だが、英国は自国映画が176本、外国映画が645本の計821本、日本は自国映画が610本、外国映画が539本の計1149本、韓国は自国映画が302本、外国映画が1218本の計1520本。欧州各国はたぶん英国に近いが、ここから浮かび上がるのは、自国映画を610本も公開する日本と外国映画を1218本上映する韓国の異様さだ。

映画のデジタル化で映画が作りやすくなったとは言え、610本はあんまり多いのではないか。300万円で作った『カメラを止めるな!』が大ヒットしたことで、さらにこの傾向は広まるかも。また韓国の外国映画1218本は間違いなく世界一で、韓国は最も多様な映画を見ることができる国になったと思う。かつては日本やフランスがそう言われてきたけれど。

また、この10年の日本の映画館の状況を見ると、アート系の映画館は減ってはいない。減ったのはシネコンではない地元資本の既存館とポルノ館である。アート系映画館の分布を見ると、明らかにシネコンのない都市以外の地域を補完していることがよくわかる。

ディスカッションは、野村総研の方の映画の配信が増えつつあるデータはよかったが、その後の討議は司会の堀越さんも東京国際映画祭の矢田部さんも「業界の裏話を教えます」という感じが強く、準備不足でグダグダになった。噂話ではなく、ネットフリックやアマゾンの方の本当の話を聞きたかった。


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