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2018年10月11日 (木)

『愛しのアイリーン』のエログロの魅力

ようやく、『愛しのアイリーン』を劇場で見た。最近は日本の監督が海外、それもアジアで撮る映画が増えていて、これもその1本。吉田恵輔監督の映画はこれまで見る機会がなかったが、予告編を見て、ちょっと古い感じが妙に気になった。

古い感じは当たり前で、原作は1995年の新井英樹の同名の漫画。東北で嫁不足が深刻化して、アジア、特にフィリピン女性が花嫁として大勢やってきた時代だ。

主人公の岩男(安田顕)はパチンコ屋に勤めているが、40を過ぎても独身で悶々としている。ある時、母親(木野花)と喧嘩して、こっそりフィリピンの嫁探しツアーに参加する。そして連れてきたのがアイリーン(ナッツ・シトイ)。母親は大反対で、何とか日本人の嫁を探そうとする。

最初は、「お〇んこ!」と叫ぶ岩男を始めとして、パチンコ店の従業員たちのあまりに下品な行動にウンザリしていた。ところがそれが、登場人物全員に通じることがだんだんわかってくる。下品というより、みんなが自分の欲望に忠実に命がけで生きている。

岩男は誰でもいいから女が欲しい。それに応じるパチンコ店中年女性の良枝や若いシングルマザーの愛子(河井青葉)。パチンコ店の男性社員もスケベばかり。母親は何としてでも息子を日本人と結婚させたい。岩男の見合い相手のおとなしい女性も、実は欲求不満のようだ。

アイリーンをフィリピンパブに売り飛ばそうとするヤクザ(伊勢谷友介)が現れる。英語を操り、巧みにアイリーンを誘い出すが、伊勢谷の演技が抜群で爽快ですらある。フィリピンパブで働く大阪弁のフィリピン娘(ディオンヌ・モンサント)もいい味を出している。

そこにやってきたアイリーンが、ある意味では最も純粋かもしれない。最初は好きになれない岩男を拒否するが、ある事件をきっかけに愛し始める。しかしヤクザがいうように、しょせんはお金で買われた関係。

後半は血なまぐさい事件が起きて、グロテスクなシーンが続く。それでもエログロの果てに終盤には一風変わった感動が訪れるから不思議なものだ。

見終わって、真面目そうな60代夫妻が不満げに「広告に騙されたね」と言っていた。確かにこのエログロが受け付けない人もいるだろうが、誇張された感じの映画のあちこちから現代日本の本当の姿が垣間見える。

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