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2018年12月25日 (火)

ついでに見た展覧会2つ

年末についでに見た展覧会についても書き留めておきたい。「ついで」と言ってもつまらないわけではない。まずBunkamuraザ・ミュージアムで1月27日まで開催の「ロマンチック・ロシア展」は、ユーロスペースで学生の映画祭をやっている時に見た。この展覧会の魅力を語るのは難しい。

まず、時代は19世紀後半から20世紀初頭で、フランスならセザンヌやゴッホなどポスト印象派に当たる。20世紀になればキュビスムやフォーヴィスムも出てくる。ところがこの帝政ロシア期の絵画には、そうした「絵画革命」はない。

画面には貴族も労働者も都会も田舎も描かれているが、すべてが「優雅」の一言に尽きる。もちろん光と影の表現や色彩に印象派的な遊びはあるが、基本的には対象を正面から丹念に写し取っている。ポスターなどに使われているのはイワン・クラムスコイの《忘れえぬ女(ひと)》(1883)だが、確かにこの女性の表情は忘れがたい。

この顔の横にキャッチコピー「また お会いできますね。」。何度も日本に来ている作品らしい。基本は写実主義だが、そこに神秘的だったり、ロマンチックだったりする要素が加わる。「帝政ロシア」という旧秩序がまだあるためか、どの絵にも余裕がある。

私はあまりに印象派やポスト印象派を見過ぎているので、この時期のロシアをどうしても時代遅れと考えてしまう。本当は、明治から大正にかけての日本の絵画と同じように、西洋の「絵画革命」とは違う物差しで評価すべきなのだろう。日本に対してはそれができても、このくらい見たくらいではロシアには難しい、そんなことを考えた。

もう1つ12月9日に終わった「京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」展は、「マルセル・デュシャンと日本美術」展を見に行った時に、セット券で見ると安くなるので見ることにした。そもそも京都の大報恩寺は行ったことがない。チラシによれば、北野天満宮の近くで「千本釈迦堂」と呼ばれていて、本堂は洛中最古の木造建築として国宝という。

とにかく室町から鎌倉時代の仏像がずらりと並んでいる。最初の見どころは快慶作の《十大弟子立像》。行快作の《釈迦如来立像》のまわりに、釈迦の10人の弟子が並ぶ。「舎利佛」など名前は1人も知らないが、みんな怒っているようで怖い。

もう1つは定慶策の《六観音菩薩像》で、こちらは《如意輪観音》などの観音菩薩が、光背(後ろの飾り)や台座と共に完全な形で残っている。こちらはむしろ安心というか、人間を超えた安定感がある。

13世紀の木で作られた仏像がこれほど完璧な形で残っているのに驚く。そして仏像に関して自分のあまりの無知を自覚した。ロシアばかりではなく、日本についてもほとんど知らなかった。

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